斎藤充功『TRUE CRIME JAPANシリーズ1 誘拐殺人事件』
(同朋社出版)


発行:1995.11



 海外の主な事件を集めたTRUE CLIMEシリーズ全10巻に引き続く新シリーズ全5巻。1巻毎にテーマを決め、各事件を新聞記事などから再発掘し、あらためて現場と関係者を取材して構成するノンフィクション。
 第1巻である本巻では、誘拐殺人事件をテーマに5件を取り上げている。

 このシリーズ、当時の新聞記事やインタビューなどを読むことが出来るため、事件の資料という面ではかなり貴重。問題はそれを纏める構成であるが、巻によってややばらつきがあるのは仕方のないことか。新聞記事とインタビューをただ並べただけのものから、ノンフィクションとして読むことが出来るものに仕上がっているものまで様々である。
 ノンフィクションでは、断片的な事実と事実の隙間をいかに埋めることが出来るかが勝負となるだろうが、本巻では今ひとつ。

 収録されている事件は下の5編。発行当時、名古屋女子大生誘拐殺人事件は恩赦請求中、冨山長野連続誘拐殺人事件は裁判中。他の3件は死刑判決が出て、新潟デザイナー誘拐殺人事件の犯人は自殺、仙台幼児誘拐事件、東京幼児誘拐事件の犯人は執行されていた。そして現在、名古屋女子大生誘拐殺人事件の犯人は恩赦請求が却下、執行され、冨山長野連続誘拐殺人事件の被告は死刑が確定した。

第1章 新潟・デザイナー誘拐殺人事件―『映画「天国と地獄」をまねた列車誘拐劇』
第2章 仙台・幼児誘拐殺人事件―『元映画俳優の罪―無期懲役から死刑執行へ』
第3章 名古屋・女子大生誘拐殺人事件―『恩赦請求―決定はどう出るか』
第4章 東京・幼児誘拐殺人事件―『吉展ちゃん事件―営利誘拐の罰則強化へ』
第5章 長野・富山・岐阜にまたがる広域誘拐殺人事件―『赤いフェアレディ280Zの疾走の果ては』


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