斎藤充功、土井洗介『TRUE CRIME JAPANシリーズ4 情痴殺人事件』
(同朋社出版)


発行:1996.3



 海外の主な事件を集めたTRUE CLIMEシリーズ全10巻に引き続く新シリーズ全5巻。1巻毎にテーマを決め、各事件を新聞記事などから再発掘し、あらためて現場と関係者を取材して構成するノンフィクション。
 第4巻である本巻では、痴情のもつれによる殺人事件など、恋愛がらみが動機で引き起こされた殺人事件をテーマに5件を取り上げている。

 このシリーズ、当時の新聞記事やインタビューなどを読むことが出来るため、事件の資料という面ではかなり貴重。問題はそれを纏める構成であるが、巻によってややばらつきがあるのは仕方のないことか。新聞記事とインタビューをただ並べただけのものから、ノンフィクションとして読むことが出来るものに仕上がっているものまで様々である。
 本巻で収録されている事件は、いずれも恋愛がらみとなっているせいか、どろどろとした情念が奥底に流れている。その情念をうまく文字に引き出しており、事件に隠されている深淵が浮かび上がってきている。

 本巻に収録されている事件は下。イニシャルになっている部分、本では実名となっている。

第1章 千葉大女医殺人事件―『F・フィリピンダンサーの虜になった理由』
第2章 高校教師教え子殺人事件―『K・貢がせたあげく四角関係を精算』
第3章 墜ちた星 愛人殺人事件―『K・空前絶後の芸能スキャンダル』
第4章 大学助教授教え子殺人事件―『O・一家四人心中の凄惨な結末』
第5章 愛人の子殺人事件―『Y・きまじめな愛欲の果て』


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