歴史上の人物、事件等を文とイラストで表現したシリーズの1冊。犯罪・人権問題等の関係では、他に『冤罪・狭山事件』『右翼』『部落差別と人権』『刑法』『マフィア』『日本の警察』などがある。
前坂俊之は毎日新聞社を経て、現在は大学教授。死刑反対論者の一人として知られている。
本作は、死刑の現状と問題点を見るという観点で構成されている。章立ては以下。
1 死刑と無期の間
2 死刑の現状
3 死刑執行
4 死刑囚の最後の瞬間
5 死刑存廃の争点
6 誤審による死刑は少なくない
7 日本における死刑の歴史
8 世界の死刑事情
死刑反対論者の意見を聞くという意味での入門書としては良いかも知れない。それぞれの項目がわかりやすく書かれており、何も知らない人でも素直に頭に入っていくだろう。ただ、逆に1冊の本に色々な問題点を詰め込みすぎたため、やや散漫な印象もある。また、あくまで死刑反対論者からの視点のみで書かれており、死刑賛成論者の意見がほとんど紹介されていない。死刑=悪、残虐行為といった見方でしか書けないうちは、死刑賛成論者の賛同は得られない。あくまで、死刑反対論者の入門書であり、死刑問題の入門書ではない。
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