『別冊宝島361 囚人狂物語』(宝島社)


発行:1998.2.9



 副題に「殺人犯から銀行員まで――みんなのムショ体験」とあるとおり、留置場・拘置所・刑務所といった「塀の中」に堕ちてしまった人々の話をまとめたもの。目次を見ればわかるが、死刑囚夫婦、殺人犯、再犯者、上告を取り下げて死刑確定囚になった被告、脱獄常習犯、路上生活者、銀行強盗犯、無期懲役囚、冤罪囚、売春犯、社長命令でヘロインを運んだ男、詐欺、背任、少年少女と様々な立場の、様々な犯罪者たちが揃っている。
 立場によって、犯罪の重さによってそれぞれが持つ印象、経験は異なるであろうが、ムショの中に変わりはない。
 「あいつが勝手に死ぬから悪いんだ」、こう呟く殺人犯。汲み取りまでやらされた強盗犯。刑務所の中には、抑圧された人生が渦巻いている。笑いもあれば涙もある。強制された死を待つものもいる。
 人は誰も、刑務所に入りたいなんて思っていない(例外もいるが)。しかし、何かの間違いで人は刑務所に入る可能性もある。知られざる「底辺の世界」を知っておくことは悪くない。逮捕されるとどうなるのか。取り調べはどうか。刑務所の中はどうなっているのか。上下関係は。刑務所の職員に気に入られる方法は。更正の道は。etc.etc.……。
 刑務所、それは誰にも知られたくない人生の縮図が隠されている。


【目次】
PART1 パクられてしまった
 人を殺すよりも、射精させていただく方が楽しいです!(神軍平等兵・奥崎謙三、凱旋インタビュー)
 西成留置場はオッチャンたちのパラダイスや!(中場利一)
 裏切られた「運び屋」 告白!今だから語れる角川春樹事件の真実(池田岳史)
 なんでオレだけが!? フツーの銀行員が見た東京拘置所(山田穂積)
 「ナイスです」なんて言ってられない!(AVの帝王・村西とおるの不連続獄中体験)
 サンテ拘置所に閉じこめられて(佐川一政)
 裁判所も検事も寄ってたかって、罪を作ろうとしている!(若島征四郎)

PART2 懲りない奴ら
 女の死体の入った衣装箱を持ち歩く男
 大脱走者
 人格捨てなきゃ生きていけない! ある連続銀行強盗犯の告白
 嘆きの売防法違反 ある「高級クラブ」ママの「非日常性」を愉しむ方法!
 オレは病人だ! 刑務所に入る前に歯だけは治すこと

PART3 殺人者の檻
 恩赦はなかった! 時代に翻弄された死刑囚夫婦の記録
 勝手に死にやがれ! 殺人者の心の奥に潜む独自の心情
 愛しき死刑囚・澤地和夫 あえて上告を取り下げて死刑確定囚になった男
 愛されたくて殺したくて 無期囚Kの「心の闇」

PART4 ムショ帰りの人々
 前科者 告白の夜明け―ためらいは怒濤のように隆二の心を翻弄する
 見限られた少年たち 少年院という犯罪学校
 新宿のホームレスは「ムショ仲間」だった!
 冤罪で囚われた人 「日産サニー事件」――取り消された再審請求
 ノンストップ・セヴンティーン



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