『ワニの穴10 ドキュメント 消えた殺人者たち』(ワニマガジン社)


発行:1999.2.25



 1980年代後半から1990年代に起きた未解決殺人事件、失踪事件を中心に集めたドキュメント。
 新聞記事や雑誌記事、取材などから丹念に情報を集め、コンパクトに纏めてはある。ただ、事件の説明、疑問点の上げ方など、各レポートの構成、中身は「週刊誌の特集記事」止まりになっている。限られた枚数ということで仕方のないことかも知れないが、事件そのものへの突っ込み方がやや不足。「記事を集めて纏めました」で終わってしまった。どうせなら、集めた情報をもとに大胆な推理を行うぐらいのことをしてもよかったのではないだろうか。もしくは新聞などに載っていない情報を追いかけてもほしかった。
 「真相・赤報隊事件」では、当時似顔絵にそっくりと疑われた心右翼一水会書記長木村三浩氏を起用。やや都合のよい書き方をしている。
 朝倉喬司、見沢知廉は書き慣れているせいかもしれないが、達者である。
 慌てて作ったのかも知れないが、本文中の誤植が多いのはいただけない。
 なお、ここに上げられた事件の内、「新潟毒物混入事件」では犯人が捕まっていることを附記する。

 目次は下。


写真で見る日本犯罪風景東京近郊犯罪跡を歩く 駒村康孝

第一章 ドキュメント消えた殺人者たちを追え 

 和歌山ヒ素カレー事件の全貌 大城裕太
 ドキュメント葛飾区上智大生殺人事件 駒村康孝
 渋谷・東電OL殺人事件、終わらない暗闇 秋川義男
 池袋駅ホーム殴打殺人、消えた犯人の足取りを追う 石川清
 宮崎勤事件、五人目の犠牲者 蜂巣敦
 1991年横浜の悲劇、野村香ちゃんはどこへ行ったのか 斉田石也
 検証・名古屋妊婦殺人事件 蜂巣敦
 真相・赤報隊事件 木村三浩
 三重県女子高生行方不明事件 斉田石也
 八王子スーパーナンペイ事件 木村三浩
 女性スイミングコーチ惨殺事件 大川橋造

第二章 消え失せた犯罪者たち
 新潟毒物混入事件、犯人が捕まる日 中田薫
 東京北部〜埼玉南部を襲った連続通り魔 冴木敦也
 消えおおせるアメリカ兵犯罪者たち 石川清
 報道されないワルい高校生「犯罪」の数々 奥村一二三
 赤軍爆弾魔梅内恒夫の足跡 目森一喜
 <特別寄稿>完全犯罪の牙城が崩れる瞬間 朝倉喬司
 自白と冤罪 取調室で起こったこと 見沢知廉
 解説・事件発生から解決まで 駒村康孝

第三章 ミステリー・伝説の未解決殺人事件
 誰が天使を殺したか? 斉田石也
 ジャック・ザ・リッパーの謎 斉田石也&真木貞夫
 ゾディアックはなぜ殺人を止めた? 斉木貞夫
 マッドブッチャー殺人事件 斉木貞夫
 ハリウッド女優「ブラック・ダリラ」の最後の一夜 斉木貞夫


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