プロローグに二人の殺人犯が登場する。一人は五人殺害犯のS・M。そしてもう一人は八人殺害犯のO・Kである。彼らは事件を犯し、裁判で死刑判決を受け、拘置所に連れて行かれた。二度とそこから出られるはずはなかった。
本書は「犯罪ドキュメントシリーズ」の一冊として発行された。第一章では死刑の確定からお迎え(すなわち執行)までを、第二章では死刑執行として絞首、電気イス、ガス室、その他の死刑制度と刑具が紹介されている。
本書はあくまでドキュメントである。感情を廃し、あくまで事実のみを伝えようとしている。もし死刑廃止論に振り回されながら死刑制度を知るのが嫌な人には、最適な本と言えよう。
第一章、第二章とも難しい単語や器具が並べられているわけではなく、読み物としても充分通用するように書かれている。読んでも退屈することはないだろう。いや、死刑とは何かを考えるのに充分引き込まれるに違いない。そこでどう思うかは、読者の自由である。本書の目的は、あくまで死刑とは何かと言うことをいっさい包み隠さずに伝えることにある。
エピローグ、実は二人の殺人犯は恩赦で無期懲役に減刑される。数少ない恩赦の適用である。そして二人は仮釈放され、世の中に出る。世の中に出た彼らがどのような苦労をしたのかは、誰も知らない。ただ、一つの新聞記事がS・Mのその後を伝えていた。
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