広瀬正小説全集6(集英社文庫)
『タイムマシンの作り方』
【初版】1982年7月25日
【定価】440円
【解説】筒井康隆
【粗筋】
不思議な形をしたある"もの"に未来の学者連中が首をひねる、著者最初のSF「もの」をはじめ、あふれるばかりのアイディアと想像力、凝りに凝った構成とたぐいまれなユーモア精神の中で、SFの魅力と論理性を追求した鬼才の短篇、ショート・ショートの集大成。(粗筋紹介より引用)
【感想】
主に初期のSF短編、ショートショートを収録。一部非SF作品(「にくまれるやつ」「鷹の子」)やエッセイ「『時の門』を開く」もあり。その多くは、SF同人誌『宇宙塵』に発表されたものである。
内容そのものについて言えば、タイムマシンものが多い。これについては筒井康隆が愛情あふれる解説を書いているので、そちらを読んだ方がよいだろう。時を扱ったアイディア物を読んでしまうと、SFにあまり詳しくない私はどうしても藤子・F・不二雄を思い出してしまう。根源となるアイディアそのものについては数が限られていても、組み合わせとバリエーションで様々な作品ができあがってしまうものだ。ただ広瀬正の場合、ショートショートや短編では、その力を発揮しきれなかったんじゃないかと思ってしまった短編集ではあった。
ミステリファンなら、ぜひとも「鷹の子」を読んでみるべし。これは怖いです。
収録作品は以下。
【収録作品】
ザ・タイムマシン |
1971年10月-11月 |
『宇宙塵』158-159号 |
Once Upon A Time Machine |
1961年10月 |
『宇宙塵』49号 |
化石の街 |
1962年10月 |
『宇宙塵』60号 |
計画 |
1962年2月 |
『宇宙塵』53号 |
オン・ザ・ダブル |
1963年9月 |
『別冊宝石』 |
異聞風来山人 |
1964年3月 |
『SFマガジン』 |
敵艦見ユ |
1964年6月 |
『SFマガジン』 |
二重人格 |
1971年8月 |
『推理』 |
記憶消失薬 |
1961年11月 |
『宇宙塵』50号 |
あるスキャンダル |
1962年5月 |
『宇宙塵』55号 |
鷹の子 |
1964年5月 |
『別冊宝石』 |
もの |
1961年9月 |
『宇宙塵』48号 |
鏡 |
1962年1月 |
『宇宙塵』52号 |
UMAKUITTARAONAGUSAMI |
1962年6月 |
『宇宙塵』56号 |
発作 |
1962年1月 |
『宇宙塵』52号 |
おうむ |
1962年1月 |
『宇宙塵』52号 |
タイム・セッション |
1962年3月 |
『宇宙塵』54号 |
人形の家 |
1962年5月 |
『サンデー毎日』特別号 |
星の彼方の空遠く |
1963年4月 |
『ヒッチコック・マガジン』 |
タイムマシンはつきるとも |
1963年5月 |
『宇宙塵』67号 |
地球のみなさん |
1963年5月 |
『ヒッチコック・マガジン』 |
にくまれるやつ |
1963年6月 |
『ヒッチコック・マガジン』 |
みんなで知ろう |
1963年10月 |
『宇宙塵』72号 |
タイムメール |
1971年10月 |
『科学朝日』 |
付録『時の門』を開く |
1963年3月 |
『宇宙塵』65号 |
初出はこちらを参考にさせていただきました。
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