作 者 |
有馬頼義(ありま・よりちか) 1918年東京生まれ。昭和29年に『終身未決囚』で直木賞を受賞する。『リスとアメリカ人』『黒いペナント』『殺意の構成』など、昭和30年代に社会性豊かな推理小説の長短篇を発表し、この領域での開拓者となった。1980年没。 (作家紹介より引用)
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作品名 | 『四万人の目撃者』 |
初 出 |
『週刊読売』昭和33年1月〜7月連載。
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粗 筋 |
プロ野球のセネタースの4番バッター新海清が、走塁中に突然倒れて結局絶命した。頑丈なはずのプロスポーツ選手の体に何が起きたのか? 解剖の結果、新海の血液中に不自然な痕跡が発見された。高山検事が執拗に捜査を行う。だが、関係者の心の澱はいつまでもほぐれなかった……。 (粗筋紹介より引用)
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感 想 |
タイトルは四万人の観衆が見守る球場で、新海清が走塁中に絶命したことから。これだけを読むと、不可能犯罪を扱った本格ミステリのように見えるが、当時社会派推理小説の書き手として名前を連ねていた作者のこと、高山検事による丹念な事件追及が続く。華やかな野球選手の光と影が描かれているあたりは、いかにも社会派らしい作風。もっとも作者自身は野球小説のつもりで書いたとのことであり、推理小説を書いているとは思っていなかったという。しかし、野球を題材にしたもっとも初期の推理小説として覚えておいて損はない作品。
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備 考 |
第12回(1959年)受賞。
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