作 者 |
鮎川哲也(あゆかわ・てつや) 1914年東京生まれ。昭和31年『黒いトランク』が長篇募集に応じ入選し、本格的にデビューした。徹底して本格推理にこだわって創作活動を続ける。その一方でアンソロジーの編集や新人の発掘にも情熱を傾注する。(作家紹介より引用) 2001年、第1回本格ミステリ大賞特別賞受賞。2002年没。同年、第6回日本ミステリー文学大賞特別賞受賞。 |
作品名 | 『黒い白鳥』 |
初 出 |
『宝石』昭和34年7月号〜12月号連載。昭和35年2月、講談社より刊行。
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粗 筋 |
線路沿いで死体となって発見された西ノ幡社長は、労働争議と新興宗教のふたつの争いに巻き込まれていた。警察はその関係者を調べていくが、挫折。調査を引き継いだ鬼貫と丹那のコンビは、被害者の金庫から出てきた写真を手がかりに、一人の女性を追っていき一つの推論へ到達。(粗筋紹介より引用)
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感 想 |
時刻表を利用したアリバイトリックを中心とする本格探偵小説。鮎川読者にはおなじみの鬼貫警部と丹那刑事が事件の謎を解く。足による捜査で一つ一つ疑問点を解き明かしていく捜査部分に加え、労働争議や新興宗教といった当時の社会的風俗も交えることにより、アリバイトリックものの単調さを回避する工夫もなされている。脂ののりきった時期の作品ということもあり、鮎川哲也の代表作として挙がることの多い作品である。 とまあ、本来なら読んでいて面白いのだろうが、個人的には退屈だったとしか言い様がない。そもそも鮎川作品とは肌が合わないらしい。クロフツ作品ではそこまで退屈に思った記憶がないのになぜなんだろう。そもそも時刻表トリックそのものが嫌いということがあるかもしれない。鮎川にしてはちょっと長めだからかもしれない。鮎川の描き方に単調なところがあるのかもしれない。角川文庫や創元推理文庫版も含め3回読んでいるのだが、毎回つまらないという感想しかないのだ。協会賞を受賞するだけの力作ということに異論はないが、面白いとは思わない。今読んで、本格ミステリファン以外に受け容れられるのか、疑問。 |
備 考 |
第13回(1960年)受賞。
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