作 者 |
陳舜臣(ちん・しゅんしん) 1924年、神戸市生まれ。1943年大阪外事専門学校インド語学科を卒業。61年に『枯草の根』で江戸川乱歩賞。その後の長篇も本格的構成を取りながらエキゾティズムに溢れ、69年に『青玉獅子香炉』で直木賞。 (作者紹介より引用)
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作品名 | 『玉嶺よふたたび』 |
初 出 |
『オール讀物』昭和42年7月号に掲載した中編「玉嶺大三峰」が原型。昭和44年、徳間書店より長編として書き下ろし刊行。
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粗 筋 |
訪中視察団の一員として中国を訪れた東洋美術史専攻の入江は、25年ぶりに玉嶺へと向かう。抗日ゲリラの疑いのあった中国人の娘・映翔を愛し、不可解な別れを味わった思い出の地である。戦火の渦のなかに隠されたその悲恋の真相たる彼女の心境を今ようやく入江は知るのだった。 (粗筋紹介より引用)
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感 想 |
陳舜臣といえば陶展文を探偵役に据えた本格推理小説の書き手、と言う人はもう少ないだろう。やはり中国を舞台とした歴史小説の作家という印象の方が強い。本作品は陳が歴史小説に移行しはじめた頃の作品である。戦時中における男女の運命を書いたこの作品は、ミステリとロマンが絶妙にブレンドされた作品に仕上がっている。そして最後の余韻が心地よい。傑作である。
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備 考 |
第23回(1970年)受賞。
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