作 者 |
清水一行(しみず・いっこう) 1931年、東京生まれ。早稲田大学中退後、週刊誌のライターとして活躍。66年に『兜町』でデビュー。経済小説に新展開をもたらした。72年の『噂の安全車』以降、『最高機密』『動機』などの推理小説も多い。 (作者紹介より引用)
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作品名 | 『動脈列島』 |
初 出 |
1974年12月、光文社カッパ・ノベルスより書き下ろし刊行。
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粗 筋 |
新大阪発ひかり424号の汚物タンクから時限爆弾が発見された。走行中の新幹線を転覆させる――犯人からの恐るべき警告状が、政府と国鉄を震撼させた。要求は新幹線による騒音振動公害の抜本的解決だが、すぐに応えられるものではない。果たして列島の大動脈は守れるのか……。 (粗筋紹介より引用)
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感 想 |
新幹線といえば「夢の超特急」というイメージしかなかった頃、これを読んだときの衝撃は大きかった。敵は政府と国鉄。要求は騒音振動公害の解決。犯人を追いかける警察の方が悪にしか見えなかった。タイムリミット・サスペンス作品だが、結末がわかりつつも犯人を応援しながら読んでしまう一冊。それにしても、地味なテーマになりがちな公害問題を動機に、これだけ手に汗握るサスペンス作品を作り上げた作者の腕に脱帽である。
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備 考 |
第28回(1975年)受賞。
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