作 者 |
坂口安吾(さかぐち・あんご) 1906年新潟県生まれ。1931年「風博士」で認められる。「吹雪物語」など観念的作風で知られ、終戦後、旧来の道徳観を否定した「堕落論」や「白痴」で、新文学の旗手として脚光を浴びる。ほかに「安吾巷談」など。1955年没。(作家紹介より引用) |
作品名 | 『不連続殺人事件』 |
初 出 |
『日本小説』(大地書房)昭和22年8月号-昭和23年8月号連載(全8回)。
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粗 筋 |
昭和22年の夏、人里離れた歌川家に曰くありげな人々が集まる。作家、画家、学者、弁護士、女優……。錯綜する人間模様。彼ら彼女らの不倫乱交に彩られた異様な雰囲気の中、殺人事件が続発した。人間心理を鋭く抉る名探偵巨勢博士は、果たしてこの奇怪な事件を解決できるのか。(粗筋紹介より引用) 作者が雑誌連載時に毎回掲載した読者への挑戦状や附記なども収録。 |
感 想 |
探偵小説=ゲーム論に則って書かれた最高傑作の一つ。特に「心理の足跡」の衝撃度は今でも忘れられない。殺人事件で8人が死亡するという、よくよく考えてみるととんでもない事件なのだが、登場人物がエキセントリックすぎることにより現実味がないため、悲壮感というものが全く感じられない。あえてこのような書き方に徹したことにより、巨勢博士による推理の鮮やかさが浮かび上がってくる。何度読んでも傑作である。
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備 考 |
第2回(1949年)長編賞
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