作 者 |
大沢在昌(おおさわ・ありまさ) 1956年名古屋生まれ。79年、「感傷の街角」で第1回小説推理新人賞を受賞。ハードボイルド界の気鋭として、意欲的な創作活動をつづける。『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞受賞。93年、『無間人形 新宿鮫4』で直木賞を、2004年には『パンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞も受賞。ほかに『氷の森』『天使の牙』『雪蛍』など著書多数。 (作者紹介より引用)
|
作品名 | 『新宿鮫』 |
初 出 | 1990年9月、光文社カッパノベルスより書き下ろし刊行 |
粗 筋 |
新宿で次々と射殺されていく警官。いったい誰が、なんのために? その頃、新宿署の鮫島は、天才的な銃の密造人を追っていた。キャリアながら、孤独な捜査を強いられている男の誇り、涙、愛、友情、そして罠……。欲望に満ちた街で繰り広げられる非情の世界。新境地の刑事小説に、犯罪者から「新宿鮫」と畏怖されるニュー・ヒーロー登場!
(粗筋紹介より引用)
|
感 想 |
永久初版作家と自ら揶揄するぐらい、実力と反比例するかのように売れていなかった大沢在昌が大ブレイクを勝ち取った作品。犯罪があふれる街・新宿、一匹狼の元キャリア刑事、抱えている過去、ロック歌手の恋人とお膳立てはばっちり。今までの警察小説とは異なった新しい警察小説の誕生に世間は湧き、ベストセラーとなった。当然のごとくシリーズ化され、今でも続いている。 こうして改めて第一作を読んでみると、鮫島というキャラクターの造形が最初から際立っていることがわかる。もちろんこの作品を描いた当初はシリーズ化などとは考えていなかっただろうが、シリーズ化できるほどの深みを最初から鮫島に持たせつつ、刑事小説ならではのサスペンスとハードボイルドを保った娯楽作品として完成されている。大沢の実力が、鮫島というキャラクターを創案したことにより、ようやく花開いたといえよう。 新宿鮫のシリーズは当然続き、大沢によって様々な試みがなされることとなる。 |
備 考 |
第44回(1991年)長編部門。
|