作 者 |
宮部みゆき(みやべ・みゆき) 1960年東京生まれ。法律事務所等に勤務の後、87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞、『火車』で山本周五郎賞、『蒲生亭事件』で日本SF大賞、『理由』で直木賞と受賞を重ねる。2001年の『模倣犯』は毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。 (作者紹介より引用)
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作品名 | 『龍は眠る』 |
初 出 | 『龍は眠る』(出版芸術社)1991年2月刊行、書き下ろし。 |
粗 筋 |
雑誌記者の高坂が慎司と出会ったのは、暴風雨の夜だった。小学生が行方不明となった事件の、誰も知らない真相を告げた後、その少年は言う。僕は超能力者なんだ、と。半信半疑でその能力を調べる高坂に、奇妙な手紙が届いていた。何か恨みがあるらしい……そして事件が起こる。超能力者の悲哀とともに紡がれる異色サスペンス。 (粗筋紹介より引用)
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感 想 |
数々のタイトルを受賞する宮部みゆきが、応募作品を除いて初めて受賞した作品。この後も傑作、話題作を次々産み出していく作者にとって、本作品はその華麗なるキャリアの初期に書かれた傑作である。そして面白さは、いつの時代に書かれた作品であろうと変わらない。高いレベルを維持する秘訣とは何なのだろうか。 超能力という異形の力を持つ少年たちの苦悩。そして異形の力を持ち合わせることによる周りからの偏見や異端視。そして周囲の人たちを巻き込んでしまう不幸な出来事。超能力ものではありきたりな展開なのだが、それでも最後まで面白く読ませてしまう力には脱帽してしまう。宮部みゆきはこのあとも超能力を扱った作品を描き続けることとなる。 ありきたりな材料を、ありきたりな舞台の上で、ありきたりな言葉を使いながら、一流の料理に仕上げてしまう。やはり宮部みゆきは凄い作家である。 |
備 考 |
第45回(1992年)長編部門。
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