作 者 |
江戸川乱歩(えどがわ・らんぽ) 1894年、名張市生まれ。苦学して早稲田大学を卒業。十数種の職業を経て大正12年に『二銭銅貨』でデビュー。『パノラマ島奇談』『陰獣』『D坂の殺人事件』など数々の歴史的名作を発表。日本探偵作家クラブ初代会長。1965年没。 (作家紹介より引用) |
作品名 | 『幻影城』 |
初 出 |
1951年5月、岩谷書店より刊行。A5版420ページ。
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粗 筋 |
黄金時代が終わり、探偵小説の文学的発展が求められた1950年代。探偵小説に文学性は必要か、そしてそれに対応する新形式とは? 乱歩があくまでも本格の原点を忘れずに、当時のわが国と欧米の状況を冷静に踏まえて、てらいなく素直に探偵小説を語る。推理小説ファン必携の名著。 (粗筋紹介より引用)
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感 想 |
日本ミステリ評論の名著といえる一冊。海外作品の紹介もさることながら、やはり本書で最も注目すべきは「探偵小説純文学論を評す」だろう。いまでも取り上げられることが多い「一人の芭蕉の問題」を含むこの評論は、戦後ミステリの方向性の一つを決めるだけの影響力があったと思われる。もちろん純文学論を実践できるだけの作家がいなかった、ということも大きかったのだが。 これ、というテーマを設定して書いた評論を集めたわけではないので、内容にばらつきがあるのは仕方がないが、それでも今後の探偵小説ということについて熱く語ったこの名著は、ミステリファンなら一度は目を通してほしいところ。今でも充分勉強に、そしてミステリへの情熱を湧き起こさせる一冊である。 |
備 考 |
第5回(1952年)受賞
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