日本推理作家協会賞受賞作全集第74巻-第75巻
『ガダラの豚』(上)(下)中島らも



【初版】2008年6月20日
【定価】上下巻とも857円+税(当時)
【解説】中島さなえ
【底本】『ガダラの豚』I〜III(集英社文庫)

【収録作品】
作 者
中島らも(なかじま・らも)
 1952年兵庫県尼崎市生まれ。大阪芸術大学放送学科卒。漫画家やミュージシャンも目指しつつ、コピーライターに。1984年から新聞で始めた人生相談コーナーが好評で、87年から本格的な作家活動に入る。『今夜、すべてのバーで』(1991)で吉川英治文学新人賞受賞。その一方、劇団「笑殺軍団リリバット・アーミー」やロックバンドのメンバーとしても活躍。2004年死去。
(作者紹介より引用)
作品名
『ガダラの豚』
初 出
『週刊小説』1991年4月〜1992年9月まで連載。1993年3月、実業之日本社より単行本刊行。
粗 筋
 アフリカの呪術医研究で大きな業績を残している大生部教授は、テレビの特番の取材を兼ね、妻や息子とともにケニアへ向かった。そこは、8年前、娘の志織を事故で失った地でもあった。以来、精神を病んでしまった妻。大生部は、フィールドワークの中で、家族の絆を取り戻せるのか? 一行は、不吉な名前を持つ呪術師の村・クミナタトゥを目指すのだが。
(上巻粗筋紹介より引用)
 呪術師の村・クミナタトゥに辿りついた大生部教授一行は、大呪術師バキリと出会う。そこで目にしたのは、バキリのキジーッ(呪具)に「されていた大生部の娘、志織だった。必死の思いで志織を日本に連れ帰った大生部たちだったが、帰国後も周囲では不気味な出来事が相次ぐ。毒の塗られたナイフ、惨殺、事故死……。バキリの影が大生部たちに迫る中、志織をめぐり最後の対決が幕を開ける!
(下巻粗筋紹介より引用)
感 想
 宗教、超能力、民族学、呪術、テレビなど、様々な要素をごった煮にして繰り広げられる冒険スペクタクル。作者が面白いと思った要素を、これでもかとばかりつぎ込み、まとまりがあるんだかないんだかさっぱりわからない冒険談が立て続けに展開される。分量自体のボリュームも凄いが、中身はそれを遙かに上回る面白さ。よくぞこれだけの物語を書ききったと、読了後は素直に脱帽するしかない。とにかく凄いの一言。そして面白かったと感嘆すればよい。そんな物語。
備 考
 第47回(1994年)長編部門。

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