江戸川乱歩推理文庫第12巻(講談社)
『吸血鬼』



【初版】1988年12月8日
【定価】540円
【乱歩と私】「ボクシングのように」阿刀田高


【収録作品】

作品名
吸血鬼
S
初 出
『報知新聞』昭和5年9月27日-昭和6年3月。
粗 筋
 消える死体、暴かれる墓地、盗まれる柩、花氷にされた美女、怪しの菊人形・雛人形、風船での逃走、モーターボートでの追っかけ……無気味に美男美女を脅かす唇のない骸骨怪人の飽くなき執念は何ゆえか。
 探偵明智小五郎、恋人の文代さん、小林少年が謎に挑んで大活躍するホラー活劇小説の傑作。
(裏表紙より引用)
感 想
 明智小五郎だけでなく、恋人の文代さん、小林少年までもが大活躍。冒頭の決闘シーン(毒薬飲んでいたらどうなっていたんだ?)から読者を引き込み、唇のない男を相手の大活劇が繰り広げられる。新聞連載ということもあってか、派手な展開が多い。トリック自体はどこかで見たことのあるものばかりだが、そこに追いつ追われつの活劇や復讐劇が混じるものだから、面白さという点では乱歩長編でもトップクラスかもしれない。この荒唐無稽さに着いていけないかもしれないが。
 残念なのは、ヒロインの倭文子がもう少し魅力があったらよかったのだが。
備 考
 

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