作品名 | 緑衣の鬼 |
初 出 | 『講談倶楽部』(講談社)昭和11年1-12月号。 |
粗 筋 |
カーテンの上に大きな影法師が現われた。裾広がりのマントの影、モジャモジャの頭髪、怪物の横顔がクッキリと写って、その唇が異様に曲がったかと思うと、例の老人の笑い声が、悪魔の凱歌ででもあるように薄気味わるく聞こえてきた……。伊豆で紀州で東京で、神出鬼没の偏執狂が次々と犯す殺人の目的は何か。 (裏表紙より引用)
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感 想 |
イーデン・フィルポッツ『赤毛のレドメイン家』の翻案。乱歩が絶賛した作品であり、そのせいか本国よりも日本での評価が高い作品である。翻案である本作品では、赤毛の代わりに緑衣の人物となっているのだが、はっきり言って目立つだけであり、乱歩が求められた通俗長編に合わせるための改変だろう。どちらかと言えば、改悪に近いが。 さすがに明智小五郎は出せないので、本作では素人探偵の乗杉竜平が事件の謎を解く。原作と比べると重みがないのは残念。それ以上に犯人たちが軽く書かれており、通俗ならではの書き飛ばしが目立つ。あの犯人の独白がないのは何とも残念。 |
備 考 |