作品名 | 影男 |
初 出 | 『面白倶楽部』昭和30年1月号~12月号連載 |
粗 筋 |
無数の名前を持つ隠身術者の影男――衣装はもとより背の高さ、顔面、頭髪にも化身の術を応用し、七十歳の老人にも、二十代の美女にも化ける。一方で小説を書き、人間の裏面を暴いて人気を得ている。その影男が殺人請負業に乗り出すや、奇々怪怪、残虐非道の事件が巻き起こる。名探偵明智小五郎の頭脳が勝つか? (裏表紙より引用)
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感 想 |
無数の名前を持つ隠身術者の影男、という設定はいかにも乱歩らしい。人間の裏側を追求し、そこで得られた秘密を基に強請りを働き、時には人気小説家となり、まれには善行を施す。そんな影男が主人公の作品。そのまま影男の活躍を書いていれば異色の作品となったのだが、殺人請負業者の人物が登場してからの展開はチープで残念。地底パノラマ王国の王で恋人誘拐業の男が登場するあたりは、別作品にした方がよかったのではないか。とはいえ、唐突な密室談義も含め、今までの乱歩趣味をこれでもかと詰め込んだ作品であり、作者が「戦前よりも気の抜けた作」と言っているものの、もう少し評価されてもいいと思う。
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備 考 |