江戸川乱歩推理文庫第34巻(講談社)
『怪奇四十面相/宇宙怪人』



【初版】1988年1月8日
【定価】640円
【乱歩と私】「凡庸な一読者からの感謝」田中芳樹


【紹介】
 獄中から「脱獄宣言」を新聞社に寄せた怪人二十面相。しかも「二十の顔では不満、俺は四十面相だ!」との言い草に世間は騒然となる。――ゆなどき、んがくの、でるろも。むくぐろ、べへれじ、しとよま。とだんき、すのをど、すおさく。二十面相が狙う「黄金髑髏」の秘密を解き、脱獄を阻止できるか、明智探偵。
(裏表紙より引用)


【収録作品】

作品名
怪奇四十面相
初 出
『少年』1952年1月号-12月号連載。
粗 筋
 【紹介】参照。
感 想
 わざわざ「四十面相」に名前を変えなくても……と思ったのは私だけではないだろう。それはともおき、脱獄からスタートするのはルパンにあるとはいえ、このシリーズでは初めての設定。郵便ポストや百科事典に化けるなどの名シーンは忘れられない。また後半は宝探しに移るが、「ゆなどき~」から始まる暗号を丸暗記した人も多いのではないか。いつもと違うことをしようという乱歩の意欲が見える作品。
備 考
 

作品名
宇宙怪人
初 出
『少年』1953年1月号-12月号連載。
粗 筋
 世界中に現れた空飛ぶ謎の円盤。そのうちの一つが丹沢山に降り、羽のある大トカゲが現れたという。そして国立博物館から国宝の仏像と博物館長が消え、ニューヨークでも機械と外科部長が消えてしまった。そして小林少年の前に、奇怪な宇宙怪人が現れる。
感 想
 いつもなら変な「怪人」が出てきたら二十面相が正体だとなるのだが、今回は日本だけではなく、世界各国に円盤が現れるなど、スケールがでかい。乱歩がSFに挑戦したかと思うぐらいだ。その分、解決のがっかり感は半端ではないぐらい落差があるものだが、そこまでの面白さは特筆できる。なおシリーズ後半によく出てくるあの機械は、本作品が初登場である。
備 考
 

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