江戸川乱歩推理文庫第41巻(講談社)
『仮面の恐怖王/電人M』



【初版】1988年8月8日
【定価】640円
【乱歩と私】「乱歩が人生を変えた」大谷羊太郎


【紹介】
 ロンドンの「マダム・タッソー臘人形館」を模して、上野不忍池の辺に建てられた白亜の「中曾夫人臘人形館」。森閑とした館内に立ち並ぶ血塗られた歴史の主人公たち。ルイ十四世時代のバスチーユ牢獄に繋がれた「鉄仮面」の人形が、少年探偵団の目前で蘇り、何処ともなく消え去った時、恐ろしい事件が幕を開けた。
(裏表紙より引用)


【収録作品】

作品名
仮面の恐怖王
初 出
『少年』1959年1月号-12月号連載。
粗 筋
 【紹介】参照。
感 想
 スタートは臘人形館。明智小五郎と小林少年の蝋人形って、本人が見たら嫌がるだろうなあ。鉄仮面の男を「恐怖王」と呼んでいるけれど、それだったら最初から鉄仮面でいいと思うのだが。明智があっさりと捕まるも、簡単に逃亡。ほとんど遊んでいるとしか思えない。さらに今度は黄金仮面に化けるのだから、ネタ切れ感がありあり。洞窟探検に宝探しで必死のネタつなぎである。
備 考
 

作品名
電人M
初 出
『少年』1960年1月号-12月号連載。
粗 筋
 タコ入道のような火星人とロボットが東京の至る所に現れて驚かせ、「月世界旅行をしましょう」という紙切れを残していく。実はこれは、人工月世界の宣伝だった。それから三か月後、遠藤博士の家に電人Mが現れ、木村助手に博士の秘密を探りだせと脅迫する。遠藤博士の、世界を滅ぼすこともできる大発明とは何か。
感 想
 電人Mという奇怪なロボットが現れ、さあ二十面相かと思ったら、実は宣伝だったという乱歩にしては珍しい肩透かし。前作のお礼で買った携帯無線電話や「アケチ一号」という車まで登場。あまり活躍の機会がなかったような気もするが。それにしても小林少年、免許証持っているのか? 消失トリックなどは毎度おなじみのもので新味はない。本作のハイライトは、遠藤博士の発明品である。確かにこれは恐ろしい。よく考えたものだ。
備 考
 

【江戸川乱歩推理文庫(講談社)】に戻る