作品名 | 新宝島 |
初 出 |
『少年』昭和15年4月号-昭和15年3月号連載。
|
粗 筋 |
【紹介】参照
|
感 想 |
中国人の人さらいなどが出てくるところは、この時代ならではか。南洋の無人島に漂着する以降は『ロビンソン・クルーソー』を借りたものだろう。黄金の国探検以降は荒唐無稽さがさらに激しくなるが、黄金国が日本の弟分になるなどという話は、戦前ならではのストーリー展開であり、今読むにはとても苦痛である。
|
備 考 |
作品名 | 知恵の一太郎 |
初 出 |
「一太郎物語」として、『少年倶楽部』昭和17年1月号-12月号連載および昭和18年1月号、4月号掲載。発表時の筆名は小松龍之介。前半の八篇を収めて『知恵の一太郎』の題で、後半の六篇と未発表一篇を加えて『魔法の眼鏡』の題でそれぞれ昭和22年12月、京橋書房より刊行。昭和24年1月、全編を収録した『少年名探偵』の題で出雲書房より刊行。
|
粗 筋 |
明石一太郎君は、友達や近所の人から「知恵の一太郎」というあだ名をつけられていた。うまい考えを出して、みんなをびっくりさせるからであった。一太郎君は、「なぜ」と「どうすれば」ということをすじみちを立ててよく考えてとくのが上手でした。
|
作 品 |
「象の鼻」「消えた足跡」「知恵の火」「名探偵」「空中曲芸師」「針の穴」「お雛様の花びん」「幼虫の曲芸」「冷たい火」「魔法眼鏡」「月とゴム風船」「兎とカタツムリ」「白と黒」「風のふしぎ」「ゴムマリとミシン針」
|
感 想 |
乱歩とは思えぬ健全な読み物となっているが、時代背景を考えれば仕方がないことか。昆虫を題材としたものがいくつかあるのは、当時ファーブル『昆虫記』を読んで感銘したかららしい。「なぜ」「どうすれば」という考え方は、探偵の思考とつながる。
|
備 考 |
昭和16年になって乱歩の作品が絶版となり、印税収入が皆無となったことから、「筆名を変えて、健全な教育的な読みものを書いてみませんか」という『少年倶楽部』の勧めに応じて書いたもの。
|
作品名 | 赤いカブトムシ |
初 出 |
『たのしい三年生』昭和33年4月号-昭和34年3月号連載。
|
粗 筋 |
世田谷区のさびしい街を歩いていた小学三年生の女の子三人組は、マンホールから黒いマントを着た男の人が現れたのを目撃する。後を追っていくと、男はお化け屋敷と呼ばれている洋館の外側を登って行き、女の子をさらっていった。少年探偵団の小林団長と木村君は屋敷に入っていったが、地下室で大きな赤いカブトムシと遭遇した。
|
感 想 |
従来の少年探偵団シリーズ以外に連載された作品群のうちの一つ。二十面相ではなく、「黄金の虎」に出てきた魔法博士が小林少年たちと対峙する。とはいえ、おかしな扮装をして少年探偵団に向かい合うのは、二十面相とほとんど変わらない。ただし悪意が見られないことが、本作における起用だろうか。内容としては他愛のないもので少々幼い。それがシリーズには含まれなかった理由だろう。
|
備 考 |