作品名 | 海外探偵小説作家と作品1 |
初 出 |
昭和32年4月、早川書房より刊行。 昭和28年9月より刊行されたハヤカワ・ポケット・ミステリの毎巻末に原稿用紙十枚以上の解説文を書いている。二十八年度に11冊、29年度に46冊、30年度に5冊、計62冊を書いて書く種がなくなり音をあげ、29年12月に執筆を打ち切った。これらの解説文を集め、さらに「宝石」その他の雑誌に書いたものを加えた。91名(別名を加算しないと80名)になるが、乱歩自筆でないものが17篇あるので、それらは削り、その代わりにその後に書いたテイラーとヒューズを加えた。 |
目 次 |
アタイヤ Edward Atiyah アリンガム Margery Allingham アンブラー Eric Ambler イネス Michael Innes ヴァン・ダイン S.S.Van Dine ウォーリス J.H.Wallis ウォーレス Edgar Wallace ウールリッチ Cornell Woolrich(William Irish) カー John Dickson Carr(Carter Dikson) ガードナー Erle Stanley Gardner(A.A.Fair) ガボリオー Emile Gaboriau キッチン C.H.B.Kitchin ギルバート Anthony Gilbert(Anne Meredith) クイーン Ellery Queen(Barnaby Ross) クリスティー Agatha Christie グリーン Alan Green グリーン Anna Katharine Green グリーン Graham Greene クロフツ Freeman Wills Crofts コリンズ Willam Wilkie Collins コール G.D.H.& M.I.Cole ザングウィル Israel Zangwill シムノン Georges Simenon |
感 想 |
乱歩がポケミス等で開設した海外探偵作家の紹介文をまとめたもの。文庫化に当たり三冊に分冊しているが、当初は二冊であったことを考えると、江戸川乱歩推理文庫のラインナップを途中で変更したことによる編集側の苦肉の策という感がしなくもない。 随筆集で書かれていたカーなどの文章には重複も目立つが、苦手とされるハードボイルド系も含め、不公平にはならないように丁寧な執筆を行っているのは、律儀な乱歩ならでは。その後の研究による新事実も出ていることから、必ずしもすべてが正しいとは言い切れないが、乱歩ならではの視点と好みを知るには格好の本かもしれない。 今では入手しづらい作家の紹介もあり、何とか読んでみたくなるような解説の書き方はさすがである。 |
備 考 |
原版の附録には「海外探偵小説総目録」がついていたが、その後の作品の増補すべきものが多いため割愛している。
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