江戸川乱歩推理文庫第48巻(講談社)
『悪人志願』



【初版】1988年11月8日
【定価】480円
【乱歩と私】「乱歩と私」高柳芳夫


【紹介】
 大正十四年から昭和四年の初めまでに、「新青年」「読売新聞」他の求めに応じて執筆したものを、AからFまで八つに分け、まとめた随筆集。乱歩は日本探偵小説のジャンルを開拓し、一方では戦慄と論理の物語を続けざまに発表、読書会を驚倒させたが、この随筆では、自己とその身辺を率直に語った好エッセイ集。
(裏表紙より引用)


【収録作品】

作品名
悪人志願
初 出
昭和4年6月、博文館から刊行。
目 次
 序


 悪人志願
 私の探偵趣味
 乱歩打明け話
 恋と神様
 浅草趣味
 参与官と労働代表
 今一つの世界
 無駄話
 私の抱く夢
 最近の感想


 映画の恐怖
 吸血鬼
 声の恐怖
 墓場の秘密
 錯誤の話
 迷路の魅力
 お化人形
 旅順海戦館
 探偵叢話
 たね二、三
 暗号記法の分類
 ある恐怖


 探偵趣味
 日本人の探偵趣味
 入り口のない部屋・その他
 精神分析学と探偵小説
 雑感
 探偵小説は大衆文芸か
 発生上の意義だけを
 前田河広一郎氏に


 荒唐無稽
 宇野浩二式
 日本の誇り得る探偵小説
 少年ルヴェル
 一寸法師雑記
 寸評
 当選作所感
 「押絵の奇蹟」読後


 半七劇素人評
 映画横好き
 探偵映画その他
 映画いろいろ


 小酒井不木氏のこと
 小酒井氏の訃報に接して
 探偵作家としての小酒井不木氏
 肱掛椅子の凭り心地
 ラムール
感 想
 大正十四年から昭和四年初めまで、まる四年間に書かれた随筆の大部分を集めたもの。水谷隼の勧めによってまとめた第一随筆集。博文館刊行の「新青年草書」の第四巻に加えられた。新青年、大衆文芸、探偵趣味、文藝春秋、苦楽、中央公論、婦人公論、婦人の国、婦人画報、不同調、早稲田学報、文芸倶楽部、演劇映画、映画時代、東西朝日新聞、大毎、東日、読売、万朝等々である。
 全体47編をAからFまで六つに分けており、Aは主に自己身辺に関するもの、Bは恐怖そのほかの趣味に関するもの、Cは探偵小説及び大衆文芸雑感、Dは乱歩自身の小説及び他人の作品に関する感想類、Eは劇と映画、Fは小酒井不木の思い出となっている。
 AからFに分かれているが、どれも乱歩らしいなあと思わせる内容のものがそろっている。自分のことについてもほとんど隠さずに話しているし、探偵小説については自分の好きなところを存分に語っている。自分の作品についての言及は少ないが、眼高手低についてはこのころから変わっていない。
 Fの不木の思い出については、もっと頁を費やしたかったことだろう。
 最後の「ラムール」は、前半を乱歩、後半を不木が書き上げた合作短編である。後に乱歩は書き直し、「指」というタイトルで発表している。
備 考
 

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