作品名 | 蔵の中から |
初 出 |
大正14年から昭和17年の間に執筆した未完随筆を中心にまとめたもの。計49編収録(同一タイトルのものはまとめて1編としてカウント)。
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内 容 |
タイトルの「蔵の中から」は、乱歩が『探偵春秋』昭和11年10月創刊号~昭和12年6月号に計9回連載した随筆「蔵の中から」より、中島河太郎が採用した。
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感 想 |
全65巻目録には「未完評論」とありながら、紹介文には「未完随筆」と書かれているこの矛盾。解説の中島河太郎も、「本書には大正十四年から昭和十七年の随筆を収めた。評論ともいうべきものが混じっているが、その区分は厳密ではない」と書いている通りである。本書は当時出版された作品の書評、作品評や序文が多い。序文が多いということは、それだけ乱歩の名前が世間に広がっていたということだから、さすがというべきか。 表題の「蔵の中から」も短めの随筆であり、今まで収録されなかったのも仕方がないところか。中島河太郎も挙げているが、本書で面白いのは「国枝氏に」。国枝史郎が『読売新聞』大正14年8月31日月曜付録に掲載した「日本探偵小説界寸評」への反論であり、読売新聞に掲載されたものである。残念ながらこの寸評は載っていないが、解説に一文が載っていて面白い。中島河太郎は「人気髄一の乱歩に対する嫉視がありありと窺えよう」と書いているが、なるほどと頷かせる内容である。ここからさらなる議論が深まれば面白かったのだろうが、残念ながらここで終わってしまったのは残念だ。 短い内容の随筆、評論が多いので、言葉足らずのところが多いのは残念。まあ、それでも乱歩らしさが垣間見えるのは嬉しい。 |