作品名 | 夜は三たび死の時を鳴らす |
初 出 | 『漫画読本』1966年10〜11月号 |
粗 筋 |
駆け出しの新聞記者・千太の住むアパートで、殺人事件が発生。千太の聞いた時計の音が、犯行時刻を表しているらしい。
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感 想 |
当時『漫画読本』で多数の作家によって連載されていた推理クイズ。ぎこちなさはあるものの、天藤真らしいユーモア感に溢れている。
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備 考 |
作品名 | 金瓶梅殺人事件 |
初 出 | 『推理ストーリー』1967年1月号 |
粗 筋 |
「金瓶梅物語」を舞台稽古中の劇団「星座」で、金蓮役の女優・丘しおりが殺された。西門慶を誘惑する場面で、金蓮の衣装を着て、舞台と同じく足を天井へ吊り上げられて。
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感 想 |
舞台内の見立て殺人を扱った中編。どちらかと言えば裏バージョンの天藤らしさがよく発揮された作品。
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備 考 |
作品名 | 白昼の恐怖 |
初 出 | 『高二コース』1967年2月号 |
粗 筋 |
予選会を明日に控えた日、演劇部のキャップである浅井吉男が休んだので、同じ演劇部の那智とともに伊東は浅井の家を訪れた。しかし浅井は母親が病気だからと言って変なことを言い残し、そのままドアを閉めてしまった。
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感 想 |
ジュヴナイルだが、ページ数が短いこともあって、内容としてはいま一つ。主人公に共感させるには手ごろな話かもしれない。
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備 考 |
作品名 | 幻の呼ぶ声 |
初 出 | 『中三コース』1967年5〜10月号 |
粗 筋 |
修学旅行で止まった旅館で、体調を崩して寝ていたはずの中江美也子が消えてしまった。しかし同級生の千葉井霙は、彼女が消える少し前、買い物に出ている途中で彼女とそっくりの人物を見かけていた。さらに翌日、美也子の友人浅松知子まで消えてしまった。
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感 想 |
連載ということもあってか、次から次へと展開が変わるサスペンス。続けて読むと、ちょっと目まぐるしいところがあるが、ジュヴナイルとしては成功している方ではないか。
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備 考 |
主人公の名前は、沖縄の方言「チバイミソーレ」から来ているとのこと。まだ沖縄がアメリカに統治されていたころの話である。
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作品名 | 完全なる離婚 |
初 出 | 『推理界』1967年7月号 |
粗 筋 |
探偵社の結婚相談室へ訪れたのは、31歳の係長。今の愛人と結婚するために、今の妻と別れたい。探偵社の山里主任が勧めたのは、夫婦仲の悪いカップルを集め、新たなパートナーを見つけようという「しあわせクラブ」だった。
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感 想 |
ユーモアミステリの佳作。どうなるかという落ちは見えているものの、そこに至るまでの過程が楽しい。もっとも、落ちについても意外な方向へ向かっているのだが。
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備 考 |
作品名 | 恐怖の山荘 |
初 出 | 『中三コース夏休み臨時増刊』1967年8月 |
粗 筋 |
西湖の近くの別荘で二週間を過ごすこととなった仲良し五人。ところが、甲府の銀行を襲ったギャング三人組が、奪った金を持ったまま富士山麓方面を逃走中だという。
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感 想 |
ページが短いこともあるが、単純な構成である。最後のちょっとした機転を利かすところぐらいか、見るべきところは。
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備 考 |
作品名 | 袋小路 |
初 出 | 『推理界』1967年10〜11月号 |
粗 筋 |
袋小路で男性の死体が見つかった。昨夜不審な物音を聞いた隣家の二人だったが、時刻が一時間違っていた。そして見つかった容疑者は二人。どちらも片方の言う時間にはアリバイがあり、片方の言う時間にはアリバイがなかった。解剖でも結論は出ない。隣家の二人のどちらが正しいのか。
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感 想 |
初出では問題編と解決編に分かれていた。設定は本格ミステリファンを喜ばせそうなものだが、結末を聞くと少々がっくりするのではないか。
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備 考 |
作品名 | われら殺人者 |
初 出 | 『推理ストーリー』1968年2月号 |
粗 筋 |
家族を轢き殺されたりするなど、会社社長である丹後隆一に恨みを持つ4人が集まって、丹後隆一殺害期成同盟を結んだ。アリバイを用意し、分担も決まった4人はいよいよ殺害を決行し、それは見事成功したかに見えた。
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感 想 |
こちらも掲載時は、問題編と解決編に分かれていた。推理というよりは、想像力を求めているような問題だな、これは。
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備 考 |
作品名 | 真説・赤城山 |
初 出 | 『推理界』1968年4〜5月号 |
粗 筋 |
国定忠治は手入れを受け、なんとか赤城山まで逃れることができた。どうやら向こうは、忠治すら忘れていたような事件の数々を洗い、証拠を握っているようだった。ここまで知っているのは、部下の中の誰かに違いない。いったい誰が密告したのか。しかも容疑者の一人、浅太郎の伯父である目明しの勘助は、部下を捕まえたことに怒り狂う江戸の大泥棒・鼠に狙われていた。
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感 想 |
こちらは犯人当ての懸賞小説として書かれたもの。しかも、講談でおなじみの国定忠治が出てくるという異色作。これは編集部からの要請だろうか。犯人当てとしてはコンパクトにまとまった作品である。
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備 考 |
作品名 | 崖下の家 |
初 出 | 『推理界』1969年5月号 |
粗 筋 |
夜、歩いて家に帰る途中、不審な片目の男につけられていることに気付く加奈子。夫の邦雄は取り合わなかったが、後をつけられる日々が続き、とうとう殺人事件が起きた。
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感 想 |
ラスト一行で読者を恐怖に陥れる、サスペンスの佳作。夫婦間の微妙な関係を物語に生かすのは天藤真の得意技であるが、それが効果的に生かされた作品である。
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備 考 |
作品名 | 悪徳の果て |
初 出 | 『小説劇場』1969年9月号 |
粗 筋 |
通っていた産婦人科医・赤尾に犯された恒子。許せない夫・武は地検に告白状を提出する。赤尾医師は裁判で徹底して否認を続けたのだが、それにはある秘密が隠されていた。
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感 想 |
ある秘密の意外さがこの作品の肝となるのだが、後味自体はあまりよくない。少なくとも解説で書かれている「家族愛」などという言葉で片付けていい内容とも思えない。
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備 考 |