作品名 | 天狗の面 |
初 出 | 1957年、『お天狗様の歌』のタイトルで第3回江戸川乱歩賞に応募し、最終選考まで残るものの落選。1958年、改稿、解題の上浪速書房より刊行。 |
粗 筋 |
山間の寒村で、にわかに起こった天狗講騒動。選挙にこれを利用しようと画策する村会議員。彼はある夜、出されたお茶を飲んで、衆人環視の中、絶命した。誰がどのような方法で毒を投与したのだろう? そして第二、第三の殺人が起こり、平和な村の様相は一変する。 (粗筋紹介より引用)
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感 想 |
処女長編と言うこともあってか、それとも後の作品からするイメージなのかはわからないが、土屋作品に似合わないと言うか、無理をしているというか。山間での連続殺人、天狗講というギミック、ユーモア調の文体、弁護士というよりも素人探偵による解決、読者への呼びかけなどといったあたりも書き方がぎこちない。農村における新興宗教の浸透という点については、作者のあとがきにもあるとおり、当時凄まじいものがあったという点については納得できるのだが、この作品ではそんな現実味が感じられないのも、今一つで終わっているところかも知れない。それでも、「探偵小説とは割り算の文学である。事件÷推理=解決」という土屋の探偵小説論がこの作品からも垣間見えるのは嬉しいことである。
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備 考 |
処女長編。
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作品名 | 天国は遠すぎる |
初 出 | 1959年、書き下ろし刊行。 |
粗 筋 |
死を誘う歌として話題の「天国は遠すぎる」を遺書代わりに、死体となって発見された十代の娘。捜査本部は自殺と断定するが、その死に疑問を抱く長野県警の刑事の粘り強い捜査により、土木疑獄の中心にいると目される県庁職員の失踪と結びついていく……。 (粗筋紹介より引用)
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感 想 |
粗筋だけを見ると、当時流行の社会派推理小説みたいに見えるが、内容はがちがちのアリバイトリックに密室トリックなどが重なり合った本格推理小説(別に社会派が本格であってもおかしくはないのだが)。後の作品群と比べると事件の動機などに社会派の要素が入っているものの、本格推理小説として一級の作品であることに代わりはない。
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備 考 |
1959年、第41回直木賞候補作。
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