求刑死刑判決無期懲役【2011年】






事件概要
罪 状
判 決
判決理由
備  考
N・S(25)  福岡市の無職N・S被告は2008年3月25日18時30分頃、同市城南区で女性会社員(当時31)に果物ナイフ(刃渡り約10cm)を突き付け現金を要求。応じなかったため、胸や腹などを突き刺して重傷を負わせた。その後バックを探ったが、金目の物がなかったためそのまま逃走した。
 また4月14日19時頃に同市早良区のアパート前で、無職女性(当時78)から金を奪おうと果物ナイフで首などを多数回刺し失血死させた。
強盗殺人、強盗殺人未遂他 2011年2月2日
福岡地裁
松下潔裁判長
無期懲役
 起訴前および裁判中の精神鑑定では、2度とも責任能力が認められている。被告側は殺意を否定している。
 裁判長は犯行態様や経緯などから責任能力を認定した。そして「生活費に困窮したという犯行の経緯や動機は身勝手で短絡的だが、殺害する意図は計画的だったとまでは言えない。若年でこれまで凶悪犯罪の前科はなく、更生の可能性もあり、極刑はちゅうちょせざるを得ない。生涯にわたって贖罪の日々を送らせるのが相当だ」と述べた。

2012年2月16日
福岡高裁
川口宰護裁判長
検察・被告側控訴棄却
 検察側は量刑不当を、弁護側は心神喪失による無罪を主張し、控訴した。
 裁判長は、被告が直前まで事件を起こさずに済む方法を模索していたことなどから、「犯罪性の強い人格だと決め付けることはできない」と指摘。真摯な反省が見られないことについても、知的能力の低さや成育歴などによるものだと述べた。そして「何の落ち度もない女性を狙った通り魔的犯行で極めて悪質だが、計画性は認められず、更生の可能性もまだ残されている」として、一審判決を支持した。
上告せず確定。
I・K(60)  住所不定、無職I被告は2009年11月15日午後3時ごろ、東京都港区のマンションで金品を強奪するために飲食店経営の男性(当時74)方に侵入。部屋にいた男性の首を刃物で突き刺すなどして殺害した。
 I被告は2009年5月に出所し、埼玉県内の生活保護受給者用施設で寝泊まりしたり、建設現場で働いたりしていたが、事件当時は仕事をしていなかった。
強盗殺人、住居侵入 2011年3月15日
東京地裁
吉村典晃裁判長
死刑
 裁判員裁判。I被告は逮捕当初から黙秘。裁判でも無言を貫いた。弁護側は「事件当日、現場には行っておらず、殺害もしていない」と無罪を主張した。
 判決は、現場から被告の掌紋が検出され、被告の靴底に被害者の血痕が付着していたことなどから「状況証拠を総合すると被告が犯人と認められる」と有罪を認定した。そして「出所して半年で冷酷非情な犯行に及んだ。自分の利益だけを考え、人の命という最も重要な価値を軽く見た冷酷非情な犯行。2人殺害の前科は特に重視すべきで、生命をもって罪を償わせるほかない」と述べた。
 I被告は1988年11月5日正午ごろ、妻(当時36)が浮気をしていると疑って詰問、口論となり、カッとなって台所にあった包丁(刃渡り23.5cm)で刺殺した。その後、妻を殺したことで将来を悲観、子供と心中しようと同日午後8時ごろ、長男(当時8)と二女(当時3)の口に都市ガスのゴムホースを押しつけるなどした上、室内に灯油をまいて放火。二女を焼死させ、自分は自宅ベランダから約15m下の芝生に飛び降り1か月の重傷を負った。長男はベランダから近くの人に助けられ無事だった。1989年11月30日、千葉地裁で懲役20年(求刑同)の判決が言い渡された。控訴後、1990年1月25日に取り下げ、確定。
 裁判員裁判の一審死刑判決が二審で破棄されたのは初めて。
2013年6月20日
東京高裁
村瀬均裁判長
無期懲役(一審破棄)
 弁護側は引き続き無罪を主張。I被告は出廷しなかった。
 判決は、一審同様伊能被告の犯行を認定。そして、「被害者は1人で、当初から殺意があったとは到底言えない」と指摘。「前科と新たな罪に顕著な類似性が認められる場合に死刑が選択される」とした上で、心中目的などで妻子2人を殺害した前科と今回の強盗殺人に「類似性は認められない」と指摘。「一審は前科を過度に重視しすぎた。裁判員が議論を尽くした結果だが、刑の選択に誤りがある」と判断した。そして「殺意は強固だが、被害者が1人の事案で、死刑は選択しがたい」と述べた。
2015年2月3日
最高裁第二小法廷
千葉勝美裁判長
検察・被告側上告棄却、確定
判決文「裁判所ウェブサイト」内のPDFファイルが開きます。リンク先をクリックする前に、注意事項をご覧下さい)
 判決は、死刑を適用する前提として、慎重さと公平性の観点から「過去の裁判例の集積を検討して得られた共通認識を議論の出発点とすべきだ」と指摘し、裁判員裁判でも裁判官のみの裁判でも同様と強調した。そして「一審判決は、死刑選択はやむを得ないとする根拠を示しておらず、死刑を破棄した二審判決が不当とはいえない」と述べた。
 さらに本件について、殺人罪で服役後、被害者1人の強盗殺人をした場合は、前科と再犯との関連や再犯に至った経緯などを考慮すべきだとの判断を示し、被告の前科については「口論の末に妻を殺害し、子の将来を悲観し無理心中しようとした事件で、強盗殺人とは関連が薄い」と判断。「服役後も更生の意欲を持って就職したが前科が影響して続かず、自暴自棄になったとみるのも可能」として、過度に重視すべきではないとの見方を示した。
N・K(62)  舞鶴市の無職N被告は2008年5月7日未明、同市の朝来川岸付近で、同市に住む高校1年生の少女(当時15)をわいせつ目的で襲い、服を脱がされて下半身を触るなどされたが、抵抗されたことに激高して頭や顔を鈍器で多数回殴打。雑木林内で出血性ショックで死亡させた。京都府警は2009年4月7日、殺人と死体遺棄の容疑で逮捕。京都地検は28日、殺人と強制わいせつ致死の罪で起訴した。 殺人、強制わいせつ致死 2011年5月18日
京都地裁
笹野明義裁判長
無期懲役
 N被告は当初から起訴事実を全面的に否認。検察側は目撃証言などの間接証拠を積み重ねて起訴した。
 判決で裁判長は現場に至る道路で被告と被害者を見たとする目撃者2人の証言の信用性を認め、道路沿いの3カ所にある防犯ビデオの画像も目撃証言と合わせて検討し、「映っている男は被告であり、犯行現場近くに犯行時刻に近接した時間、被害者と一緒にいた」と認定し、「2人が別れた後、別の人物が殺害した可能性は想定し難い」とした。一方、検察側の画像鑑定は証拠能力を認めなかった。続いて被害者の遺留品を詳細に説明した被告の供述につい自発的にされたとし、検察側の立証にそう判断をした。量刑について裁判長は「経緯、動機に酌むべき点はない」と指弾したが、「帰宅途中に出会った被害者を襲った事案で、連続的な殺害や周到に計画した事案とは異なる。同種前科の刑期終了後は暴力的犯罪を行っておらず、偶発的な面もある」などとして死刑回避の理由を述べた。
 N被告は1973年9月17日、内縁の女性(当時26)との別れ話のもつれから、女性とその兄を刺殺。さらに近くの民家に押し入り、住人の女性2人を人質に籠城した。1974年11月11日、大津地裁で懲役16年判決(求刑無期懲役)を受けている。また出所後の1991年9月12日、舞鶴市内の夜道で若い女性の自転車に体当たりして転倒させいたずらしようとしたところを通りかかった海上自衛官に取り押さえられ、強制わいせつ、傷害容疑で逮捕。京都地裁舞鶴支部で懲役5年の判決を受けている。逮捕時は別の窃盗事件で有罪判決を受け、服役中だった。
 N被告は釈放後の2013年5月28日、大阪市のコンビニでアダルト雑誌1冊(680円相当)を万引きし、逮捕された。8月30日、大阪地裁(小倉哲浩裁判官)は「生活保護費が底をつく中で及んだ安易で短絡的な犯行」として懲役1年2月(求刑懲役1年6月)の実刑判決を言い渡した。
 N被告は2014年11月5日、知人女性(当時38)をナイフで刺した殺人未遂事件を起こした。2016年3月4日、大阪地裁で懲役16年(求刑懲役25年)判決。控訴せず確定。2016年7月11日、病死。67歳没。
2012年12月12日
大阪高裁
川合昌幸裁判長
無罪(一審破棄)
 検察と被告側の双方が控訴。判決で裁判長は、一審判決が有罪認定の根拠とした間接証拠を検討。運転手の目撃証言を、「男をほんの数秒しか目撃しておらず、事件直後は目つきや髪形が被告と大きく異なっていたが、徐々に被告の特徴と一致する内容に変遷した」と指摘。捜査関係者に被告の写真を見せられたことなどで、「記憶が変容した可能性が否定できず、信用できない」とした。また被告が捜査段階で、被害者のかばん内にあったポーチなど遺留品の色や形状を供述したことを秘密の暴露ととらえた一審の認定についても、「(色や形状に)際だった特徴はなく、犯人でしか知り得ないとは言えない。捜査側の誘導で供述が影響を受けた可能性を否定できない」と結論づけた。その上で、状況証拠で有罪認定する場合の基準を示した最高裁判決を踏まえ、被告が犯人でなければ説明できない事実関係が含まれていないと判断した。
2014年7月8日
最高裁第一小法廷
横田尤孝裁判長
検察側上告棄却、確定(無罪
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 裁判長は目撃証言について「(目撃者の)取り調べを重ねるにつれて特徴が被告と一致するように変遷した」と指摘。遺留品に関する被告の供述についても「当初は曖昧だったが、長時間の取り調べで次第に具体的な供述に変わった」と認定した。そのうえで二審判決について、「犯人とした一審判決の事実認定が不合理であることを具体的に示したもので、誤りはない」として無罪の判断を維持した。
T・T(50)  住所不定、無職T被告は2009年10月20日夜から21日の間、千葉県松戸市に住む大学4年の女性(当時21)宅に窓を割って侵入。21日午前10時15分過ぎ、帰宅した女性(当時21)に包丁(刃渡り約17.6cm)を押しつけ、両手首をストッキングで縛り、現金約5,000円、キャッシュカード2枚、クレジットカード2枚等を奪って暗証番号を聞き出すとともに、午後1時頃、女性の胸を包丁で突き刺して殺害した。10月21日午後1時30分頃、松戸駅のATMにて現金20,000円を搾取。その後も駅やコンビニのATMで現金を引き出そうとしたが、暗証番号が一致しなかったり、残高不足だったりしたため、断念した。さらに22日、女性方にベランダの無施錠窓から侵入。犯行を隠すため、死体付近の衣類にライターで火を放ち、同室内の床、壁など約24m2を焼損、同時に死体を焼損した。他、8人に対して強盗強姦事件などを連続して起こした。 住居侵入、強盗強姦未遂、強盗致傷、強盗強姦、監禁、窃盗、窃盗未遂、強盗殺人、建造物侵入、現住建造物等放火、死体損壊 2011年6月30日
千葉地裁
波床昌則裁判長
死刑
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 主な争点は殺意の有無に絞り込まれた。裁判長は、動機や経緯は判然としないとしながら、女性の将来を奪った結果は重大と指摘。女性殺害の悪質性や結果の重大さに加え、刑務所を出所してから3か月足らずのT被告が強盗傷害などの事件を短期間に繰り返していた点を重視し、被告の反社会的な傾向性は顕著で根深いと断じた。焦点となっていた殺意については、傷口に乱れがないことから「もみ合いの中で生じた傷とは考えにくい」とし、傷の状況から殺意を持って強い力で刺したと認定した。また被告の成育歴については「T被告の48歳という犯行時年齢を考えると、生育環境を重視する段階にはない」と断じた。そして「被告は公判供述を変遷させており、責任回避の言動も見られ、真に反省を深めているとみることはできない」と指弾。「殺害が1人で計画性がないことを考慮しても、極刑を回避すべき決定的事情とまではならない。「刑事責任は誠に重く、更生可能性は乏しい」との判断を示した。  T被告は1984年に起こした強盗強姦事件で懲役7年の判決を受け服役し、1992年に出所。結婚して働いていたが、2002年4月に神奈川県内のアパートに侵入して、20歳代女性を殴って現金60,000円とキャッシュカードなどを奪う強盗致傷事件を起こして懲役7年の判決を受けた。出所1か月後の事件である。
2013年10月8日
東京高裁
村瀬均裁判長
無期懲役(一審破棄)
 裁判長は、一審判決と同様に、T被告が殺意を持って女性の胸を包丁で刺すなどして殺害したと認めたが、女性の部屋に侵入したのは金品を盗むためだったとし、「殺害された被害者は1人で、犯行に計画性はない。同種事件で死刑がなかった過去の例からすると、死刑の選択がやむを得ないとは言えない」とし、先例に沿って判断すべきだとの考えを示した。そして「死刑選択の合理的、説得力のある理由とは言い難い。裁判員らが議論を尽くした結果だが、刑の選択に誤りがある」と述べた。
2015年2月3日
最高裁第二小法廷
千葉勝美裁判長
検察・被告側上告棄却、確定
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 判決は、死刑を適用する前提として、慎重さと公平性の観点から「過去の裁判例の集積を検討して得られた共通認識を議論の出発点とすべきだ」と指摘し、裁判員裁判でも裁判官のみの裁判でも同様と強調した。そして「一審判決は、死刑選択はやむを得ないとする根拠を示しておらず、死刑を破棄した二審判決が不当とはいえない」と述べた。
 さらに本件について、被害者が1人で計画性も低いと指摘。さらに、死刑判断の根拠の一つとなった、事件前後の複数の強盗強姦事件などについては「これらの事件は人の命を奪おうとした犯行ではない」とし、死刑選択の理由にならないとした。
T・T(38)  埼玉県富士見市の無職T被告は、いとこで横浜市に住む内装工の新井竜太被告と共謀。2008年3月13日午前10時ごろ、新井被告の実家の内装会社で、T被告の養親である住み込み従業員の女性(当時46)に睡眠薬を飲ませ、浴槽に沈めて殺害。保険会社に「事故による溺死」とうその申告をして、同年7月、預金口座に死亡保険金約3600万円を振り込ませた。新井被告が2800万円を、T被告が800万円を手にしていた。
 T被告は2006年夏ごろに携帯電話のサイトで女性と知り合い、2007年1月に女性を養母とする養子縁組を結び、同年10月には死亡時に保険金が支払われる特約付きの傷害保険に加入させていた。
 両被告は深谷市に住む両被告の叔父(当時64)と金銭トラブルが生じ、2009年8月7日、家で酒を飲んで眠り込んだ叔父の胸を、T被告が柳葉包丁で刺して殺害した。新井被告は2月ごろから叔父の家をリフォームしていたが、それにかこつけて金をむしり取っていた。
殺人、詐欺 2011年7月20日
さいたま地裁
田村真裁判長
無期懲役
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裁判員裁判
 T被告は起訴事実を全面的に認めた。裁判長は、「強固な殺意に基づく冷酷非道なもので、新井被告に従っていれば分け前をもらえると犯行に至った。身勝手極まりない」と指弾した。死刑を回避した理由については、「新井被告の手足として行動し、従属的立場で、責任は新井被告に比べて相当程度低い。反省、悔悟の情が認められ、死刑を科すにはちゅうちょを覚えざるを得ない」とした。また、養母殺害では神奈川県警が司法解剖を行わず、殺人事件として捜査していなかったが、「T被告が自白したからこそ、事件が明らかになった」と指摘した。  主犯の新井竜太被告は一・二審死刑判決。上告中。
控訴せず確定。


I・K(35)  建設会社従業員であるI・K被告は、同社従業員松原智浩被告、リフォーム会社従業員伊藤和史被告、愛知県西尾市の廃プラスチック販売業S被告と共謀。2010年3月24日未明、松原被告が勤める建設会社の実質経営者であり、長野市に住む韓国籍の男性(当時62)方2階で、男性の長男(当時30)に睡眠導入罪を混ぜた雑炊を食べさせて眠らせた。同日午前8時50分頃、長男の様子を見に来た長男の内妻(当時26)が昏睡していることに気付いたため、内妻の首をロープで絞めて殺害。その後、寝室で昏睡していた長男を殺害した。9時25分頃、自室のソファで寝ていた男性を絞殺し、現金約416万円を奪った。さらに3人の遺体を運び出し、長野市内でトラックに積み替えた後、25日午前に愛知県西尾市内の資材置場の土中に埋めて遺棄した。その後、男性の車を関西方面に走らせて3人が失踪したように見せかけ、奪った現金は4被告で山分けし、飲食代や他の借金返済に充てた。内妻殺害は松原被告とI被告、長男殺害は伊藤被告と松原被告、男性殺害は伊藤被告と松原被告が実行している。睡眠導入剤や死体遺棄場所、トラックなどは報酬目当てで参加したS被告が提供した。男性は松原被告、I被告が勤める建設会社ならびに伊藤被告が勤めるリフォーム会社、金融業などを経営。松原被告、I被告は男性方へ住み込みをしていた。斎田被告は男性の知人だった。 強盗殺人、死体遺棄 2011年12月6日
長野地裁
高木順子裁判長
死刑
 裁判員裁判。I被告は長男、内妻殺害にかかわったことは認めたが、「男性の殺害には一切関与がない」と述べ、男性殺害については無罪を主張。弁護側は、長男らの殺害は現金を奪う目的はなく、殺人罪の適用にとどまると主張した。
 判決で裁判長は、I被告が計画概要を知らされていたと判断。事前の共謀は否定したが、殺害当日に計画の説明を受けた時点で強盗殺人についての共謀を遂げたと認定するとともに強盗殺人罪の適用を認めた。量刑では、被害者親子への不満という主体的な動機で参加し、殺害の実行行為を積極的に行ったと厳しく非難。そして、「3人の尊い命が奪われた犯行結果は重大。犯行態様の執拗性、残忍性も見過ごすことはできず、反省状況を最大限考慮しても被告人の刑事責任は誠に重大。共犯者間の刑の均衡などから、死刑をもって臨まざるを得ない」と指摘した。
 裁判員裁判で、一審死刑判決が破棄されたケースで検察側が上告しなかった初めてのケース。
 松原智浩被告は2014年に最高裁で死刑確定。伊藤和史被告は2016年に最高裁で死刑確定。S被告は懲役18年判決(求刑無期懲役)が最高裁で確定。
2014年2月27日
東京高裁
村瀬均裁判長
無期懲役(一審破棄)
 裁判長は、I被告が事前に計画を断片的にしか聞いておらず、当日急に呼び出され、指示されるまま殺害に加わったと認定し「金目当てに強盗殺人を計画した2人と比べれば役割は大きく違う。これまでの被害者が3人以上の強盗殺人事件とは、動機や計画性など重要な事情が大きく異なり、先例は参考にすべきでない」と指摘。その上で「一審判決には、刑の重さの判断に複数の重要な誤りがあった。被告自身に計画性はなく関与も限定的。強盗の意思も強くない。(死刑の)共犯者とは明らかに違いがある。死刑の選択が真にやむを得ないとは言えない」と極刑を回避した。
2015年2月9日
最高裁第三小法廷
大橋正春裁判長
被告側上告棄却、確定
 被告側は量刑不当を理由に上告していた。


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