氏 名 | 松本淳二(60) |
逮 捕 | 2021年7月4日 |
殺害人数 | 2名 |
罪 状 | 殺人、死体遺棄 |
事件概要 |
福岡市西区の無職松本淳二被告は2021年6月20日、2階自室でアニメのDVDを見ているときに、トイレの介助を頼んできた父親(88)に怒りが爆発。居間から持ち出した電気ポットのコードで首を絞めて殺害。目撃していた母親(87)を口封じのために首をコードで絞め、二人を自宅1階にある元酒店の業務用冷蔵庫(高さ約2.3m、幅1.5m、奥行き0.6m)に入れて粘着テープで目張りをして父親の死体を遺棄し、母親を窒息死させた。 松本被告は大学を勝手に中退したことを厳しく叱責されてから父親に嫌悪感や苦手意識を持ち、以後は父親を避けるように生活。就職するも半年で退職。実家の酒店を手伝ったこともあったが、約35年無職で自宅に引きこもり、好きなアニメや漫画本を楽しむ生活を続けていた。携帯電話は持っておらず、インターネットに触れたこともなかった。母親との関係は良好で、買い物や病院の送り迎えに付き添っていた。生活費は両親の年金や貯金から月に1~3万円を小遣いでもらい、両親の食事の準備や風呂掃除などの家事もそれなりに行っていた。 2021年初めから父親に認知症の傾向が出始め、さらに4月、母親が腰椎骨折で約2か月入院。父親と二人きりの生活で、父親が何度も同じことを尋ねたり、用事を言いつけられて自分の趣味の時間が邪魔されたことに苛立ちを募らせていた。母親は退院後、車椅子での生活。父親が母親の世話をしていたが、事件約1週間前、父親が自転車で転倒して一時入院するなど足が不自由になり、松本被告が2人の食事の世話などをするようになった。 犯行当日である20日の午後6時ごろ、自室でアニメのDVDを視聴中、1階寝室にいた父親に呼ばれ、初めてのトイレ介助を行った。午後7時ごろ、再び呼ばれて2回目のトイレ介助、さらに就寝するために布団に入った午後9時過ぎ、3回目のトイレ介助に呼ばれたが、今度は父親を立たせることができなかった。父親がその場で用を足すためのバケツを持ってくるよう頼んだことで、用便後の後始末までさせられることに怒りを爆発させた松本被告は犯行に及んだ。 犯行後、松本被告は好きなDVDを買うなど今まで通りの生活を続け、母親の通院先や介護センター職員、親戚などに両親の様子を聞かれるたびに嘘をついていたが、これ以上ごまかしきれないと6月23日夕方、自宅から逃亡。自らの自転車に乗って両親の口座から約90万円を引き出すと、駅から山口、秋田、岩手、宮城、神奈川、静岡、京都と逃亡した。 6月28日午前11時ごろ、親族が福岡県警西署を訪れ、「連絡が取れない」と一家の安否確認を依頼。警察官が調べたところ、29日に冷蔵庫から両親の遺体が発見された。捜査本部は、テープから採取された指紋が松本被告の物だったこと、自転車が無くなっていたことから松本被告の行方を追い、目撃証言と防犯カメラなどで足取りを追ったところ、複数県にまたがりホテルを転々としていたことが判明。7月3日時点で京都市内のホテルに滞在していたことを突き止め、翌4日朝、同市下京区内のホテル駐車場で松本被告の身柄を確保し、容疑を認めたため、死体遺棄容疑で逮捕した。 7月25日、父親の殺人容疑で再逮捕。8月15日、母親の殺人容疑で再逮捕。 8月26日、福岡地検は両親の殺人罪と父親の死体遺棄罪で起訴した。母親の死体遺棄容疑については、死亡時期が冷蔵庫に入れる前後ではっきりしなかったため、見送られた。 |
裁判所 | 福岡地裁 鈴嶋晋一裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 |
2023年1月6日 懲役30年 【判決文】(「裁判所ウェブサイト」内のPDFファイルが開きます。リンク先をクリックする前に、注意事項をご覧下さい) |
裁判焦点 |
裁判員裁判。 2022年12月15日の初公判で松本淳二被告は、「間違いありません」と起訴事実を認めた。 検察側は冒頭陳述で、松本被告が大学中退後に定職に就かず、30年以上にわたって引きこもり状態だったと説明。事件当日、父親からトイレの介助を繰り返し求められ、部屋でアニメなどを見る時間を邪魔されたことに怒りを募らせ、犯行に及んだと主張した。また「母親にいたっては口封じで殺害し、介護疲れと呼べるものではなく、犯行動機は身勝手で同情すべき点はない」と指摘した。弁護側は「被告人は孤独を選ぶ人格障害があり、被告人の行動と障害には関連性がある」「事件の背景や遺族心情を考慮して量刑を判断してほしい」と主張した。 19日の論告で検察側は、30年以上無職で引きこもりがちな生活をし、アニメのDVDや漫画を楽しむ時間を大切にしていた松本被告が、父親にトイレの介助のため何度も呼ばれ、激高したと主張。介助を頼まれたのは事件当日が初めてだったとして「精神的に疲弊しきった『介護疲れ』の事案とは全く異なる」と指摘した。様子を目撃した母親も口封じで首を絞め、2人を廃業していた自宅の酒屋にあった業務用冷蔵庫に運び入れ、ドアを閉めて隙間なく粘着テープを貼り付けるなど「遺体を物のように扱うなど、親への畏敬の念を欠いた悪質な犯行だ」と強調。また、事件後も、母親の通院先に転院したとウソを言い、父親の口座から現金を引き出して全国を転々とするなど「自己保身や責任逃れしか考えていなかった」と指弾した。そして「極めて身勝手な考えから凄惨かつ冷酷な犯行に及んでおり悪質だ」と述べた。 同日の最終弁論で弁護側は、松本被告に孤独を好み、自分のペースを乱されることを過度に嫌うような障害があると、面会した精神科医が分析した点も考慮すべきだと反論。当時50代だった被告の面倒を80代の親が見る「8050問題」が事件の背景にあるとして「家族が何かしら対応をしていれば、問題は起こらなかったかもしれない」と訴えた。そして絞殺という手段が、過去に無期懲役の判決が出ている殺人事件と比べて残虐性が低いとし、松本被告が公判で起訴内容を認めて素直に供述していることなどを挙げ、懲役23年程度の有期刑が相当だと主張した。 最終意見陳述で裁判長から発言を求められた松本被告は、「ありません」と話した。 判決で鈴嶋晋一裁判長は、苦手意識があった父親に認知症の症状が現れ不満を募らせていた中、トイレの介助を頼まれたことで、これからも後始末をさせられ、自室で過ごす時間が削られると考えて殺害を決意したと指摘。「趣味に費やす時間が削られることにいら立ったとする動機に酌量の余地はなく、理不尽と言うほかない」と述べた。また、「高齢の両親に対しためらうことなく力いっぱい首を絞め続けていて、強固な殺意に基づく冷酷な犯行態様で相当悪質」、「精神鑑定した医師はパーソナリティー障害や自閉症の可能性を指摘したが、本件犯行とは直接関係せず、刑事責任を左右するものではない」と量刑の理由を説明した。一方で「父親との確執は被告のみに責任があるとはいいがたく、同種事件に比べて悪質性が際立っているとはいえず、無期懲役刑が相当とまではいえない。前科前歴がないことなどを考慮しても、有期懲役の上限となる刑はやむを得ない」などとして、松本被告に有期刑の上限である懲役30年の判決を言い渡した。 最後に、鈴嶋裁判長は「相当長く服役することになるが、考える時間はいっぱいある。お父さんお母さんがどういう思いで育ててきたのか、暮らしてきたのか、嫌なことから目を背けず逃げ回るばかりではなく考えてほしい」と説諭した。 |
備 考 | 被告側は控訴した。2023年4月27日、福岡高裁で被告側控訴棄却。2023年8月4日、被告側上告棄却、確定。 |
氏 名 | 須江拓貴(26)/小松園竜飛(31)/酒井佑太(26) |
逮 捕 | 2019年3月13日 |
殺害人数 | 1名 |
罪 状 |
須江被告:窃盗、住居侵入、窃盗未遂、強盗、建造物侵入、強盗致死 小松園被告:窃盗、住居侵入、強盗、建造物侵入、強盗致死 酒井被告:強盗傷人、窃盗、建造物侵入、強盗致死、詐欺、窃盗 |
事件概要 |
住所不定、無職の須江拓貴被告、酒井佑太被告と川崎市の土木作業員、小松園竜飛被告は共謀して、以下の事件を起こした。
4月25日、須江被告、酒井被告、小松園被告を長野の事件の窃盗と建造物侵入容疑で再逮捕。 5月22日、須江被告、小松園被告、T被告を渋谷区の事件の強盗と住居侵入容疑で再逮捕。 6月26日、須江被告、小松園被告、T被告を埼玉の事件の窃盗と建造物侵入容疑で再逮捕。O被告を同容疑で逮捕。 7月17日、O被告を渋谷区の事件の強盗容疑で再逮捕。 9月12日、須江被告、T被告、O被告を越谷市の事件の窃盗未遂容疑で再逮捕。 10月28日、酒井被告を横浜市の詐欺、窃盗容疑で再逮捕。 2020年7月、酒井被告と他の4人を、大阪の強盗傷害で逮捕(後にさらに1人逮捕)。 |
裁判所 | 東京高裁 伊藤雅人裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 | 2023年1月25日 一審破棄、差し戻し【判決文】(「裁判所ウェブサイト」内のPDFファイルが開きます。リンク先をクリックする前に、注意事項をご覧下さい) |
裁判焦点 |
検察側と被告側の双方が控訴した。 2022年6月8日の控訴審初公判で検察側は一審判決の破棄を、弁護側は量刑が不当に重いなどと訴えた。 伊藤裁判長は、一審判決は検察側が主張した首の圧迫などによる窒息死ではなく、事件によるストレスで持病の慢性心不全が急激に悪化し死亡したと認定ことについて、「そもそも(慢性心不全と窒息死の)択一なのかと疑問を持っている」と言及。具体的にどんな暴行があれば死に至ったかとの点を明確にするため、解剖医の証人尋問と3被告の被告人質問の実施を職権で決めた。 9月14日の公判で、解剖医の証人尋問と3被告の被告人質問が行われた。 11月18日、弁論が行われた。 判決で伊藤裁判長は、慢性心不全の状態にあったことと、暴行で死亡したことは両立すると指摘。「一審判決は合理的な根拠がないまま、首の圧迫を示唆した解剖医の見解を排斥した」とし、被告らが犯行後に被害女性の脈を測って生死を確かめ、強盗殺人罪の刑期について検索したことも、首を圧迫したとする認定を補強すると述べた。その上で、被害女性に死亡に結びつく持病はなかったとする解剖医の見解を支持し、慢性心不全を死因とした一審判決の事実認定は「不合理」と批判。事実誤認に基づく誤った評価で刑が減軽された一審判決は「破棄を免れない」と結論し、量刑判断は裁判員裁判で判断するのが相当として審理を地裁に差し戻した。 |
備 考 |
T被告は不明。 建造物侵入、窃盗、住居侵入、強盗、窃盗未遂容疑で起訴されたO被告は、2020年2月17日、東京地裁で懲役9年判決(求刑不明)。2020年9月25日、東京高裁で被告側控訴棄却。上告せずに確定している。 O被告は他の4被告と共謀して2019年2月25日、千葉県山武市の製材工場に金品を奪う目的で侵入。O被告とY被告は、寝泊まりしていた実質的経営者(当時71)の口や鼻を粘着テープで塞ぐなどの暴行を加え、窒息か急性心不全で死亡させた。2020年7月16日に強盗殺人容疑で逮捕され、8月7日に強盗致死他の容疑で起訴された。2022年3月18日、千葉地裁の裁判員裁判でY被告に懲役28年(求刑無期懲役)、O被告に懲役26年(求刑無期懲役)判決。 2021年3月9日、東京地裁の裁判員裁判で須江被告に懲役28年、小松園被告と酒井被告に懲役27年判決(求刑はいずれも無期懲役)。被告側は上告した。2023年7月5日、被告側上告棄却、差し戻し確定。 2024年10月22日、東京地裁の差戻し裁判員裁判で3被告に求刑通り一審無期懲役判決。 |
氏 名 | 佐藤俊彦(42) |
逮 捕 | 2019年6月24日 |
殺害人数 | 2名 |
罪 状 | 殺人、銃刀法違反 |
事件概要 |
名古屋市北区に住む無職、佐藤俊彦被告は2019年6月24日午後10時半ごろ、近所に住む会社員の男性(当時41)と、愛知県大府市に住む同僚の男性(当時44)と口論になり、同区の路上で二人の胸などをサバイバルナイフ(刃体約18.5cm)で複数回刺すなどして殺害した。そして男性が所持する現金712円のほか、指輪が入った財布(時価計約20,100円相当)を奪った。 佐藤被告宅と男性が住むマンションは道路を挟んで向かい合わせにあり、男性は数年前から、車にいたずらされるなどの嫌がらせを受け、県警に相談していた。 愛知県警は同日、佐藤被告を同僚男性への殺人容疑で逮捕。7月15日、近所に住む男性への強盗殺人容疑で再逮捕。 名古屋地検はおよそ4カ月間の鑑定留置の結果、刑事責任を問えると判断。「強盗目的で殺害したと立証できる証拠が足りなかった」として近所に住む男性への強盗殺人容疑を殺人と窃盗容疑に切り替えた上で、2件の殺人罪で起訴した。窃盗罪については不起訴とした。 |
裁判所 | 名古屋高裁 田邊三保子裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 | 2023年2月28日 懲役30年(被告側控訴棄却) |
裁判焦点 |
2023年2月2日の控訴審初公判で、弁護側は「事実誤認があり量刑不当」と述べ、犯行時、精神障害の影響で心神耗弱の状態だったとして減刑を求めた。検察側は控訴棄却を求め、即日結審した。 判決で田邊三保子裁判長は「(減軽の対象となるほど)統合失調症の影響は大きいとまでは言い難く、完全責任能力を認めた一審の判決に不合理な点はない」として弁護側の控訴を退けた。 |
備 考 | 2022年10月4日、名古屋地裁の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し、一審懲役30年判決。被告側は上告した。2023年8月24日、被告側上告棄却、確定。 |
氏 名 | 堀藍(22) |
逮 捕 | 2020年6月27日 |
殺害人数 | 1名 |
罪 状 | 殺人、銃刀法違反、ストーカー規制法違反(ストーカー行為)、建造物侵入 |
事件概要 |
静岡県三島市の大学生、堀藍(あおい)被告は2019年7月、同じ大学の同じ学部に通う同級生の女性を見かけて好意を抱き、10月までに繰り返し女性に無料通話アプリ「LINE」のIDを教えてほしいと迫った。当初は断っていた女性だが、堀被告が何度も要求するため、断り切れずIDを教えた。堀被告はすぐに名前を呼び捨てにして、たびたび食事の誘いを持ちかけた。女性はその都度断っていたが、要求はエスカレートし、プライベートな質問まで行うようになった。さらに堀被告は返信が遅いことに腹を立て、12月、女性が所属する部活動の部室に侵入。携帯番号を把握して無言電話をかけるなどした。2020年1月、女性は警察に、無言電話を相談していたが、証拠がないからと被告の名前は出さなかった。 堀被告は2020年2月、凶器となる包丁をホームセンターで購入。 女性は4月、LINEで堀被告に好きじゃないと断るも、堀被告はしつこくLINEを送り続けていた。 堀被告は2020年6月8~10日、LINEなどで11回にわたり、女性に交際や面会を求めるメッセージを送ったほか、拒まれたにもかかわらず6月21~24日にも計18回、メッセージを送った(ストーカー規制法違反の内容)。女性は6月23日、堀被告のLINEをブロックした。 2019年10月から事件を起こす2020年6月の間に合計789回のやりとりがLINEでなされているが、そのうち被告からのLINE送信は551回に及んだ。 堀被告はAmazonでサバイバルナイフを購入。さらにはこれまでのLINEで得た断片的な情報から女性のアルバイト先と自宅、そして車を特定した。 堀被告は6月27日、女性の自宅付近で待ち伏せた。堀被告は午後1時15分頃から25分頃までの間、三島市の自宅から約2.5km離れたコンビニのアルバイトを午後1時頃に終え、帰宅中の女性(当時19)が運転していた母親の車から降りたところを襲い掛かり、自動車内で女性の腹部を包丁(刃渡り約15.5cm)で突き刺した後、助けを求めて逃げる女性を追いかけ、さらに首や背中など複数回突き刺し、失血死させた。堀被告は包丁のほかにも、ナイフ1本を持っていた。 付近の住民が110番通報。沼津署は現場にいた堀被告を殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。 静岡地検沼津支部は7月9日から11月9日まで鑑定留置。11月17日、殺人と銃刀法違反で起訴した。12月18日、ストーカー規制法違反で堀被告を追起訴した。 |
裁判所 | 東京高裁 安東章裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 | 2023年3月15日 懲役20年(検察側控訴棄却) |
裁判焦点 |
2023年2月10日の控訴審初公判で、検察側は控訴趣意書で、ストーカー殺人類型の裁判例を示し、同類型の量刑傾向などを踏まえれば、無期懲役が相当と主張。弁護側は答弁書で「ストーカー殺人に限定したくくりではなく、行為の危険性や結果の重大性などで判断すべき」と一審判決を支持し、控訴棄却を求めた。 検察側が請求した被害者の父親の証人尋問で父親は、「弁護側が求めた懲役22年よりも低い一審判決は、到底納得できない。裁判員制度の目的である国民感情がこもっていない」と吐露。「反省していないのに、ただ若年というだけで更生の余地があると判断されたことは全く納得できない。19歳の娘は、49ヵ所を刺されて殺害された。被告人にはまだやり直すチャンスがあるのに、娘には、もうない」「娘の無念を晴らすためにも厳罰を望んでいる」と声を震わせながら訴えた。判決後、堀被告から謝罪の手紙が届いたというが「『今後何度も謝罪の手紙を書く』と書いてあったのに、届いたのはその1回だけでした」と明かした。 弁護側請求の被告人質問で堀被告は弁護人から一審判決の受け止めを問われると、「どのような判決でも受けようと思った。それは今も変わっていない。犯した罪は取り返しがつかない、改めて強く思った。一生償っていきます」と答えた。 即日結審した。 判決で安東裁判長は、「検察側が示したものは通り魔や無差別などの事案、前科や別の被害者への併合事件がある事案で、悪質性が異なる」と指摘したうえで、「2人の関係性は希薄だったとする検察官の指摘は正しいが、事件の経緯について一審の評価に誤りはない。ストーカー殺人事件の中でも最も罪が重い部類とは言えず、一審の量刑が軽すぎて不当とまでは言えない」と結論付けた。 |
備 考 | 2021年7月13日、静岡地裁沼津支部の裁判員裁判で、求刑無期懲役に対し一審懲役20年判決。上告せず確定。 |
氏 名 | 大竹純平(29)/山中暁熙(30) |
逮 捕 | 2020年7月16日 |
殺害人数 | 1名 |
罪 状 | 山中被告:強盗致死、住居侵入、窃盗 大竹被告:強盗致死、住居侵入 |
事件概要 |
埼玉県吉川市の職業不詳、大竹純平被告と、住所不定無職の山中暁熙(あきひろ)被告は、他男性3被告と共謀。2019年2月25日、千葉県山武市の木材加工会社工場で、会社倉庫内にある実質的経営者の男性(当時71)の居住スペースに金品強奪目的で侵入。男性の手足を縛り、粘着テープで鼻や口をふさぐなどして死亡させた。金品は見つからなかった。 25日午後10時40分ごろ、男性と連絡が取れないことを不審に思った従業員が工場を訪れ、居住スペースで倒れている男性を発見した。 2020年7月16日、千葉県警は防犯カメラの映像などから特定し、他事件で起訴されていた大竹被告、山中被告、他3人を強盗殺人と住居侵入の容疑で逮捕した。 8月7日、千葉地検は大竹被告と山中被告を住居侵入と強盗致死の罪で、他の3被告を住居侵入と窃盗未遂の罪で起訴した。 |
裁判所 | 東京高裁 石井俊和裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 | 2023年4月13日 山中暁熙被告:懲役28年、大竹純平被告:懲役26年(いずれも検察・被告側控訴棄却) |
裁判焦点 | 2023年2月16日の初公判で、検察、弁護側双方に量刑不当を訴えた。また被告のどちらかは、法令適用の誤りと事実誤認を主張した。 |
備 考 |
大竹純平被告は他被告と共謀し、2019年2月1日に東京都渋谷区の高齢夫婦宅で、現金約400万円などを奪ったアポ電(アポイントメント電話)強盗事件他で逮捕、起訴。2020年2月17日、東京地裁で懲役9年判決(求刑不明)。2020年9月25日、東京高裁で被告側控訴棄却。上告せずに確定している。 住居侵入と窃盗未遂の罪で起訴されたKK被告は、2018年10月の山口県での詐欺事件、2019年5月の岐阜県での2件の強盗事件、同月の千葉県での強盗致傷事件でも起訴された。2021年10月21日、岐阜地裁(入江恭子裁判長)の裁判員裁判で懲役14年判決(求刑懲役17年)。被告側控訴中。2022年3月14日、名古屋高裁(鹿野伸二裁判長)で判決。 住居侵入と窃盗未遂の罪で起訴されたNT被告は2022年2月21日、東京地裁(裁判官不明)で懲役4年判決(求刑不明)。被告側控訴するも、2022年5月までに取り下げ、確定。。 住居侵入と窃盗未遂の罪で起訴されたKR被告は、他の詐欺未遂事件などでも起訴された。2022年3月15日、東京地裁(長池健司裁判官)で懲役1年6月+懲役3年判決(求刑不明)。2022年11月24日、東京高裁(石井俊和裁判長)で被告側控訴棄却。 2022年3月18日、千葉地裁の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し、山中暁熙被告に懲役28年、大竹純平被告に懲役26年判決。 |
氏 名 | 大谷竜次(47) |
逮 捕 | 2018年2月12日 |
殺害人数 | 2名 |
罪 状 | 殺人、死体遺棄、窃盗 |
事件概要 |
住所不定、無職の大谷竜次被告は2018年2月7~8日、埼玉県所沢市にある知人女性(当時76)宅で、別居していた女性の次男で幼稚園バス運転手の男性(当時53)の胸や背中などを多数回包丁で刺して殺害した。さらに女性も浴槽に沈め、溺死させた。そして女性宅に住み込みで介護などの身の回りをしていた知人男性SY元被告とともに、男性の遺体を1階浴槽に遺棄した。同日午後1時35分ごろ、女性名義の銀行口座からキャッシュカードを使って573,990円を引き出して盗んだ。 大谷被告は現場とは別の住宅で、女性の長男と同居していた。SY元被告は次男と中学時代の同級生だった。 2人の遺体は8日午後、発見された。埼玉県警は12日午後、電車で千葉市内まで逃走していた大谷被告とSY元被告を死体遺棄容疑で逮捕した。3月6日、さいたま地検は2人を処分保留で釈放したが、埼玉県警は銀行口座からお金を引き出した窃盗容疑で2人を再逮捕した。 2019年4月4日、初公判がさいたま地裁(石川慧子裁判官)でそれぞれ開かれ、2人はそれぞれ起訴内容を否認。2人の弁護側はいずれも、女性の承諾を得て現金を引き出したと主張した。 16日の大谷被告の第2回公判で、SY元被告が証人として出廷。女性の介護をするようになった経緯や、事件前日に遺体で見つかった女性の次男とトラブルになっていたことなどを明らかにした。検察側の証人尋問でSY元被告は、女性の介護を巡って次男ともみ合いになっていたことを説明。その後、女性にカードを渡され、「お金を下ろしていいと言われた」などと証言した。また、翌日外出する際の女性と次男の様子について問われると、「お湯の中に入って死んでいた」と述べたが、2人が死亡した詳しい経緯などについては語らなかった。大谷被告は黙秘する姿勢を示したので、被告人質問は行われなかった。 17日のSY元被告の第2回公判で、被告人質問などが予定されていたが、弁護側が主張の変更を申し出たため行われなかった。 5月28日の大谷被告の第3回公判で、検察側は大谷被告に懲役1年6月を求刑して結審した。 同日のSY元被告の第3回公判で、証拠調べが行われた。証人として出廷した大谷被告は、女性方に出入りしていたことなどは認める一方で、事件前後に関することについては証言を拒否した。その後の被告人質問は、佐久間被告が黙秘する姿勢を示したため行われなかった。 6月19日、埼玉県警は次男の携帯電話を盗んだ窃盗容疑で2人を再逮捕した。 7月1日、埼玉県警は次男への殺人容疑で2人を再逮捕した。23日、さいたま地検は次男への殺人と死体遺棄罪で大谷被告を起訴した。SY元被告の殺人容疑は処分保留とし、死体遺棄罪で起訴した。携帯電話を盗んだ窃盗容疑については、2人も不起訴とした。 11月13日、SY元被告の追起訴審理がさいたま地裁で開かれ、SY元被告は次男の死体遺棄容疑を認めた。 12月4日、SY元被告の論告求刑公判が開かれ、検察側は窃盗と死体遺棄罪で懲役3年6か月を求刑、弁護側は窃盗罪については無罪を主張し結審した。 20日、さいたま地裁(石川慧子裁判官)は両方の罪を認定し、懲役2年を言い渡した。控訴せず確定。 2020年12月3日、埼玉県警は女性への殺人容疑で大谷被告とSY元被告を再逮捕した。24日、さいたま地検は大谷被告を女性への殺人罪で起訴した。SY元被告は処分保留で釈放した。 |
裁判所 | 東京高裁 大善文男裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 | 2023年4月20日 懲役28年(被告側控訴棄却) |
裁判焦点 | 大谷被告は一審同様、無罪を主張した。 |
備 考 | 2022年3月18日、さいたま地裁の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し、懲役28年判決。被告側は上告した。2023年9月26日、被告側上告棄却、確定。 |
氏 名 | 松本淳二(61) |
逮 捕 | 2021年7月4日 |
殺害人数 | 2名 |
罪 状 | 殺人、死体遺棄 |
事件概要 |
福岡市西区の無職松本淳二被告は2021年6月20日、2階自室でアニメのDVDを見ているときに、トイレの介助を頼んできた父親(88)に怒りが爆発。居間から持ち出した電気ポットのコードで首を絞めて殺害。目撃していた母親(87)を口封じのために首をコードで絞め、二人を自宅1階にある元酒店の業務用冷蔵庫(高さ約2.3m、幅1.5m、奥行き0.6m)に入れて粘着テープで目張りをして父親の死体を遺棄し、母親を窒息死させた。 松本被告は大学を勝手に中退したことを厳しく叱責されてから父親に嫌悪感や苦手意識を持ち、以後は父親を避けるように生活。就職するも半年で退職。実家の酒店を手伝ったこともあったが、約35年無職で自宅に引きこもり、好きなアニメや漫画本を楽しむ生活を続けていた。携帯電話は持っておらず、インターネットに触れたこともなかった。母親との関係は良好で、買い物や病院の送り迎えに付き添っていた。生活費は両親の年金や貯金から月に1~3万円を小遣いでもらい、両親の食事の準備や風呂掃除などの家事もそれなりに行っていた。 2021年初めから父親に認知症の傾向が出始め、さらに4月、母親が腰椎骨折で約2か月入院。父親と二人きりの生活で、父親が何度も同じことを尋ねたり、用事を言いつけられて自分の趣味の時間が邪魔されたことに苛立ちを募らせていた。母親は退院後、車椅子での生活。父親が母親の世話をしていたが、事件約1週間前、父親が自転車で転倒して一時入院するなど足が不自由になり、松本被告が2人の食事の世話などをするようになった。 犯行当日である20日の午後6時ごろ、自室でアニメのDVDを視聴中、1階寝室にいた父親に呼ばれ、初めてのトイレ介助を行った。午後7時ごろ、再び呼ばれて2回目のトイレ介助、さらに就寝するために布団に入った午後9時過ぎ、3回目のトイレ介助に呼ばれたが、今度は父親を立たせることができなかった。父親がその場で用を足すためのバケツを持ってくるよう頼んだことで、用便後の後始末までさせられることに怒りを爆発させた松本被告は犯行に及んだ。 犯行後、松本被告は好きなDVDを買うなど今まで通りの生活を続け、母親の通院先や介護センター職員、親戚などに両親の様子を聞かれるたびに嘘をついていたが、これ以上ごまかしきれないと6月23日夕方、自宅から逃亡。自らの自転車に乗って両親の口座から約90万円を引き出すと、駅から山口、秋田、岩手、宮城、神奈川、静岡、京都と逃亡した。 6月28日午前11時ごろ、親族が福岡県警西署を訪れ、「連絡が取れない」と一家の安否確認を依頼。警察官が調べたところ、29日に冷蔵庫から両親の遺体が発見された。捜査本部は、テープから採取された指紋が松本被告の物だったこと、自転車が無くなっていたことから松本被告の行方を追い、目撃証言と防犯カメラなどで足取りを追ったところ、複数県にまたがりホテルを転々としていたことが判明。7月3日時点で京都市内のホテルに滞在していたことを突き止め、翌4日朝、同市下京区内のホテル駐車場で松本被告の身柄を確保し、容疑を認めたため、死体遺棄容疑で逮捕した。 7月25日、父親の殺人容疑で再逮捕。8月15日、母親の殺人容疑で再逮捕。 8月26日、福岡地検は両親の殺人罪と父親の死体遺棄罪で起訴した。母親の死体遺棄容疑については、死亡時期が冷蔵庫に入れる前後ではっきりしなかったため、見送られた。 |
裁判所 | 福岡高裁 市川太志裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 | 2023年4月27日 懲役30年(被告側控訴棄却) |
裁判焦点 |
2023年4月13日の控訴審初公判で、弁護側は、被告は心神喪失または耗弱であり、刑事責任能力に疑義があると主張。親を世話していた状況などから量刑は重すぎると訴えた。弁護側は、松本被告の責任能力を調べる精神鑑定を求めたが、検察は「精神疾患があるという形跡は見つからない」と主張し、裁判所は弁護側の請求を棄却して即日結審した。 判決で市川太志裁判長は「犯行後に発覚を遅らせる行為や逃亡に及んでおり、完全責任能力に合理的な疑いは生じない」と指摘。一方、弁護側が介護殺人の側面もあるなどとして刑の減軽を求めたことについては、「被告人が行っていた家事は、心身ともに疲弊して殺害を決意させるようなものとは評価できない」として、一審判決を支持した。 |
備 考 | 2023年1月6日、福岡地裁の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し、一審懲役30年判決。被告側は上告した。2023年8月4日、被告側上告棄却、確定。 |
氏 名 | 須江拓貴(26)/小松園竜飛(32)/酒井佑太(27) |
逮 捕 | 2019年3月13日 |
殺害人数 | 1名 |
罪 状 |
須江被告:窃盗、住居侵入、窃盗未遂、強盗、建造物侵入、強盗致死 小松園被告:窃盗、住居侵入、強盗、建造物侵入、強盗致死 酒井被告:強盗傷人、窃盗、建造物侵入、強盗致死、詐欺、窃盗 |
事件概要 |
住所不定、無職の須江拓貴被告、酒井佑太被告と川崎市の土木作業員、小松園竜飛被告は共謀して、以下の事件を起こした。
4月25日、須江被告、酒井被告、小松園被告を長野の事件の窃盗と建造物侵入容疑で再逮捕。 5月22日、須江被告、小松園被告、T被告を渋谷区の事件の強盗と住居侵入容疑で再逮捕。 6月26日、須江被告、小松園被告、T被告を埼玉の事件の窃盗と建造物侵入容疑で再逮捕。O被告を同容疑で逮捕。 7月17日、O被告を渋谷区の事件の強盗容疑で再逮捕。 9月12日、須江被告、T被告、O被告を越谷市の事件の窃盗未遂容疑で再逮捕。 10月28日、酒井被告を横浜市の詐欺、窃盗容疑で再逮捕。 2020年7月、酒井被告と他の4人を、大阪の強盗傷害で逮捕(後にさらに1人逮捕)。 |
裁判所 | 最高裁第二小法廷 尾島明裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 | 2023年7月5日 一審破棄、差し戻し(被告側上告棄却、確定) |
裁判焦点 | |
備 考 |
T被告は不明。 建造物侵入、窃盗、住居侵入、強盗、窃盗未遂容疑で起訴されたO被告は、2020年2月17日、東京地裁で懲役9年判決(求刑不明)。2020年9月25日、東京高裁で被告側控訴棄却。上告せずに確定している。 O被告は他の4被告と共謀して2019年2月25日、千葉県山武市の製材工場に金品を奪う目的で侵入。O被告とY被告は、寝泊まりしていた実質的経営者(当時71)の口や鼻を粘着テープで塞ぐなどの暴行を加え、窒息か急性心不全で死亡させた。2020年7月16日に強盗殺人容疑で逮捕され、8月7日に強盗致死他の容疑で起訴された。2022年3月18日、千葉地裁の裁判員裁判でY被告に懲役28年(求刑無期懲役)、O被告に懲役26年(求刑無期懲役)判決。2023年4月13日、東京高裁で検察・被告側控訴棄却。その後は不明。 2021年3月9日、東京地裁の裁判員裁判で須江被告に懲役28年、小松園被告と酒井被告に懲役27年判決(求刑はいずれも無期懲役)。2023年1月25日、東京高裁で一審破棄、差し戻し判決。 2024年10月22日、東京地裁の差戻し裁判員裁判で3被告に求刑通り一審無期懲役判決。 |
氏 名 | 宮本浩志(58) |
逮 捕 | 2021年6月18日 |
殺害人数 | 1名 |
罪 状 | 殺人 |
事件概要 |
兵庫県西宮市の会社員宮本浩志被告は2021年6月11日午後9時29分~57分の間、大阪市北区の雑居ビル5階に入るカラオケパブで、経営者の女性(当時25)の首や胸を刃物で何度も突き刺すなどして失血死させた。 女性は家計を支えるため、高校時代から複数のアルバイトを重ね、2016年5月から2020年7月まで大阪市北区のカラオケバーで働いていた。宮本被告は2017年からこの店に通い始めた。2021年1月18日、女性は独立してカラオケパブを始めたが、宮本被告は事件が起きるまでのおよそ5か月の間、2日に1回のペースで83回も通い詰めていた。宮本被告は女性のLINEや電話でしつこく言い寄っていた。 宮本被告は妻と2人の娘と暮らしており、大阪市内の機器メンテナンス関連会社でエンジニアとして勤務。同社によると、勤務態度は真面目で、パブに飲みにいっていたことなどは周囲に話していなかった。 カラオケパブは12日、13日は営業日だったが、施錠されたままだった。14日午前10時半前、女性と連絡が取れないことを不審に思って店を訪ねた友人の女性が鍵を開けてもらい、パブ店内で血まみれで倒れているのが見つけた。 大阪府警は女性の交友関係を調べた結果、店に出入りしていた宮本被告とのトラブルを確認した。パブの店内に設置されていた防犯カメラは事件後に取り外されてSDカードが持ち去られていたが、ビル入口の防犯カメラで宮本被告が閉店後に出る姿が記録されていたことを確認。18日、殺人容疑で逮捕した。 |
裁判所 | 大阪高裁 斎藤正人裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 |
2023年7月10日 懲役20年(被告側控訴棄却) 【判決文】(「裁判所ウェブサイト」内のPDFファイルが開きます。リンク先をクリックする前に、注意事項をご覧下さい) |
裁判焦点 |
2023年5月22日の控訴審初公判で、弁護側は一審に続き犯人性を争い、改めて無罪を主張。犯人だと認められたとしても、宮本被告に被害者の遺族に対し私有財産を遺族に開示し、弁済の意思があることなどから量刑が重すぎるとした。出廷した被害者の兄は、「具体的な弁済方法は示されず、支払う意思は見られない」などと陳述した。検察側は控訴棄却を求め、即日結審した。被告本人は出廷せず、弁護人は「被告人質問をするために出廷するよう説得したが、本人が出頭していないので諦めざるを得ない」と述べた。 判決当日、被害者の母が意見陳述。そのなかで、「宮本被告の銀行のわずかな定期預金が差し押さえられているだけであり、年金は差し押さえが不可能。被告の元妻は、離婚時に宮本被告から贈与された分譲マンションを売却し、即日新居を購入している。私たち遺族の感情として大変許しがたい」と述べた。 判決で齋藤正人裁判長は、被告の服と靴に被害者の血液が付いていたことなどを根拠に有罪とした一審判決に「不合理な点はない」と判断。弁護人が指摘した第三者による犯行については「あくまで抽象的な可能性を述べただけだ」として否定した。そのうえで、被告が遺族に対して、弁済の意思があるため、量刑を軽くすべき主張していることについても、「実質的にはまだ弁済をしておらず、量刑に考慮すべき事情とは言えない。被告の言動に反省を見いだせず、相当だ」と述べた。そして動機は「好意が受け入れられなかったことが関係しているとみられる」とし、「被害者に落ち度はなく、身勝手で無慈悲な犯行。遺族の悲しみ計り知れない。有期刑の上限にあたる懲役20年とした一審判決は妥当」と判断した。 |
備 考 |
遺族側は、一審判決に基づき損害賠償命令を申し立てられる制度を利用。遺族側によると、この手続きの中では被告側は犯人性を争わず、2,980万円の賠償を命じる決定が出た。ただ、実際の支払いは行われていないという。 2022年10月20日、大阪地裁の裁判員裁判で、求刑無期懲役に対し一審懲役20年判決。上告せず確定。 |
氏 名 | 松本淳二(61) |
逮 捕 | 2021年7月4日 |
殺害人数 | 2名 |
罪 状 | 殺人、死体遺棄 |
事件概要 |
福岡市西区の無職松本淳二被告は2021年6月20日、2階自室でアニメのDVDを見ているときに、トイレの介助を頼んできた父親(88)に怒りが爆発。居間から持ち出した電気ポットのコードで首を絞めて殺害。目撃していた母親(87)を口封じのために首をコードで絞め、二人を自宅1階にある元酒店の業務用冷蔵庫(高さ約2.3m、幅1.5m、奥行き0.6m)に入れて粘着テープで目張りをして父親の死体を遺棄し、母親を窒息死させた。 松本被告は大学を勝手に中退したことを厳しく叱責されてから父親に嫌悪感や苦手意識を持ち、以後は父親を避けるように生活。就職するも半年で退職。実家の酒店を手伝ったこともあったが、約35年無職で自宅に引きこもり、好きなアニメや漫画本を楽しむ生活を続けていた。携帯電話は持っておらず、インターネットに触れたこともなかった。母親との関係は良好で、買い物や病院の送り迎えに付き添っていた。生活費は両親の年金や貯金から月に1~3万円を小遣いでもらい、両親の食事の準備や風呂掃除などの家事もそれなりに行っていた。 2021年初めから父親に認知症の傾向が出始め、さらに4月、母親が腰椎骨折で約2か月入院。父親と二人きりの生活で、父親が何度も同じことを尋ねたり、用事を言いつけられて自分の趣味の時間が邪魔されたことに苛立ちを募らせていた。母親は退院後、車椅子での生活。父親が母親の世話をしていたが、事件約1週間前、父親が自転車で転倒して一時入院するなど足が不自由になり、松本被告が2人の食事の世話などをするようになった。 犯行当日である20日の午後6時ごろ、自室でアニメのDVDを視聴中、1階寝室にいた父親に呼ばれ、初めてのトイレ介助を行った。午後7時ごろ、再び呼ばれて2回目のトイレ介助、さらに就寝するために布団に入った午後9時過ぎ、3回目のトイレ介助に呼ばれたが、今度は父親を立たせることができなかった。父親がその場で用を足すためのバケツを持ってくるよう頼んだことで、用便後の後始末までさせられることに怒りを爆発させた松本被告は犯行に及んだ。 犯行後、松本被告は好きなDVDを買うなど今まで通りの生活を続け、母親の通院先や介護センター職員、親戚などに両親の様子を聞かれるたびに嘘をついていたが、これ以上ごまかしきれないと6月23日夕方、自宅から逃亡。自らの自転車に乗って両親の口座から約90万円を引き出すと、駅から山口、秋田、岩手、宮城、神奈川、静岡、京都と逃亡した。 6月28日午前11時ごろ、親族が福岡県警西署を訪れ、「連絡が取れない」と一家の安否確認を依頼。警察官が調べたところ、29日に冷蔵庫から両親の遺体が発見された。捜査本部は、テープから採取された指紋が松本被告の物だったこと、自転車が無くなっていたことから松本被告の行方を追い、目撃証言と防犯カメラなどで足取りを追ったところ、複数県にまたがりホテルを転々としていたことが判明。7月3日時点で京都市内のホテルに滞在していたことを突き止め、翌4日朝、同市下京区内のホテル駐車場で松本被告の身柄を確保し、容疑を認めたため、死体遺棄容疑で逮捕した。 7月25日、父親の殺人容疑で再逮捕。8月15日、母親の殺人容疑で再逮捕。 8月26日、福岡地検は両親の殺人罪と父親の死体遺棄罪で起訴した。母親の死体遺棄容疑については、死亡時期が冷蔵庫に入れる前後ではっきりしなかったため、見送られた。 |
裁判所 | 最高裁第二小法廷 岡村和美裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 | 2023年8月4日 懲役30年(被告側上告棄却、確定) |
裁判焦点 | |
備 考 | 2023年1月6日、福岡地裁の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し、一審懲役30年判決。2023年4月27日、福岡高裁で被告側控訴棄却。 |
氏 名 | 佐藤俊彦(42) |
逮 捕 | 2019年6月24日 |
殺害人数 | 2名 |
罪 状 | 殺人、銃刀法違反 |
事件概要 |
名古屋市北区に住む無職、佐藤俊彦被告は2019年6月24日午後10時半ごろ、近所に住む会社員の男性(当時41)と、愛知県大府市に住む同僚の男性(当時44)と口論になり、同区の路上で二人の胸などをサバイバルナイフ(刃体約18.5cm)で複数回刺すなどして殺害した。そして男性が所持する現金712円のほか、指輪が入った財布(時価計約20,100円相当)を奪った。 佐藤被告宅と男性が住むマンションは道路を挟んで向かい合わせにあり、男性は数年前から、車にいたずらされるなどの嫌がらせを受け、県警に相談していた。 愛知県警は同日、佐藤被告を同僚男性への殺人容疑で逮捕。7月15日、近所に住む男性への強盗殺人容疑で再逮捕。 名古屋地検はおよそ4カ月間の鑑定留置の結果、刑事責任を問えると判断。「強盗目的で殺害したと立証できる証拠が足りなかった」として近所に住む男性への強盗殺人容疑を殺人と窃盗容疑に切り替えた上で、2件の殺人罪で起訴した。窃盗罪については不起訴とした。 |
裁判所 | 最高裁第一小法廷 堺徹裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 | 2023年8月24日 懲役30年(被告側上告棄却、確定) |
裁判焦点 | |
備 考 | 2022年10月4日、名古屋地裁の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し、一審懲役30年判決。2023年2月28日、名古屋高裁で被告側控訴棄却。 |
氏 名 | 内田潤(40) |
逮 捕 | 2020年11月9日 |
殺害人数 | 1名 |
罪 状 | 強盗致死他 |
事件概要 |
茨城県水戸市の解体業、内田潤被告はひたちなか市の無職の元少年(事件当時19)と共謀。2016年2月1日午前3時から同5時45分ごろまでの間、城里町の資材置き場で積まれていた銅線などを盗むためトラックに載せていた際、敷地内に住む銅線やアルミを扱う古物商の男性(当時77)に見つかったため、男性の頭や顔を殴り、首を両手で締め、顔や両手首に粘着テープを巻き付けるなどして死亡させ、銅線など約6トン(計108万円相当)を奪った。 他に内田被告は3日前の1月29日、元少年の弟と共謀し、男性方の無施錠の出入り口から銅線などを盗む目的で侵入し、気付いた男性の顔面に催涙スプレーを吹き掛け、抵抗され逃走した。 内田被告は当時1人で解体業を営んでおり、男性とは資材の売買といった取引を通じた面識があった。元少年は、内田被告の下で働いていたことがあった。 1日朝、男性の妻が男性の遺体を発見した。 県警は2020年10月、内田被告ら2人が男性殺害の数時間前に水戸市内の建設会社からコンテナ1台(約6万円相当)を盗んだとして窃盗容疑で逮捕。盗んだコンテナが男性殺害後の敷地内に残されていたことから、捜査本部は慎重に裏付けを進めた。 捜査本部は11月9日、別の事件で服役中だった内田被告と、別の事件の傷害罪などで公判中だった元少年を強盗殺人の容疑で逮捕。水戸地検は2人を強盗致死罪で起訴した。同地検は罪名変更の理由を明らかにしていないが、殺意の認定が困難と判断したとみられる。元少年は逮捕時に成人だったため、20歳未満が対象の少年法ではなく、成人と同じ刑事訴訟法の手続きが適用されて裁判員裁判で審理される。 |
裁判所 | 東京高裁 安東章裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 | 2023年8月30日 懲役28年(一審破棄) |
裁判焦点 |
検察側と、弁護側の双方が「地裁判決の量刑は不当」と控訴した。 判決で安東章裁判長は、地裁判決は「不当ではない」と退ける一方、地裁判決後、内田被告が遺族に1千万円を弁償した点などの事情を踏まえ「現時点ではやや重すぎる結果になった」とした。 |
備 考 |
共犯の元少年は2022年12月14日、水戸地裁の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し、一審懲役27年判決。被告側控訴中。 2022年2月16日、水戸地裁の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し、一審懲役30年判決。被告側は上告した。2023年11月29日、被告側上告棄却、確定。 |
氏 名 | T・K(32) |
逮 捕 | 2017年7月16日 |
殺害人数 | 3名 |
罪 状 | 殺人、殺人未遂、銃刀法違反 |
事件概要 |
神戸市の無職、T・K被告は2017年7月16日午前5時15分ごろから、自宅で祖父(当時83)と祖母(当時83)を金属バットで殴ったり、包丁で刺したりして殺害。止めに入った母親(当時52)を殴って殺害しようとした。母親は自宅から逃げ出したが、両腕を骨折するなど重傷。さらに、40m南に住む民家の車庫に侵入して無職の女性(当時79)を刺殺。約150m南住む民家のアヒル小屋にいた近隣女性(当時65)にも重傷を負わせた。T被告はその後逃走。 午前6時20分ごろ、祖父から「刃物で刺された」と110番。兵庫県警有馬署員が現場に駆け付け、祖父母らを発見。15分後、近くの神社で血の付いた包丁1本と金属バット1本を所持していたT被告を銃刀法違反で現行犯逮捕した。 T被告は祖父母、母親との4人暮らし。 兵庫県警は7月17日、祖父に対する殺人容疑で再逮捕。8月7日、祖母への殺人と母親への殺人未遂容疑で再逮捕。8月27日、近所の女性2人への殺人と殺人未遂容疑で再逮捕。 神戸地検は当時の精神状態を慎重に調べる必要があるとして9月1日~2018年5月まで、2度にわたり鑑定留置を実施し、精神疾患はあるものの刑事責任は問えるとみて5月11日、T被告を起訴した。 1回目の鑑定医は、症状は重度で「犯行への影響は圧倒的」と診断した。2回目の鑑定医は「思いとどまる判断を行う自由が一定程度あった」とした。 |
裁判所 | 大阪高裁 坪井祐子裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 | 2023年9月25日 無罪(検察側控訴棄却) |
裁判焦点 |
2023年5月12日の控訴審初公判で、検察側は一審判決は精神疾患の判断に事実誤認があると主張。弁護側は控訴棄却を求めた。被告は出廷しなかった。 この日行われた証人尋問で、起訴前に精神鑑定を担当した専門医2人が証言した。検察側の証人として出廷した鑑定医は「妄想に対して疑問を持ち、批判できる能力が一定程度あった」と述べ、精神疾患の影響は限定的だったと証言した。弁護側証人として出廷した鑑定医は、「周囲の人を(人間と同じ姿をしているが自我や感情がない)哲学的ゾンビだと信じ込んでいた。妄想を疑っていないので(声の女性に対し)『信じるで』という問いかけができている。正常な精神機能に基づく判断ではない」と述べ、圧倒的な幻聴、妄想の影響下にあったとの見方を示し、一審判決の精神疾患の評価は適正だと説明した。 7月3日の公判で殺害された近所の女性の遺族が意見陳述し、「いつになればこの苦しみから解放されるのか」と訴え、被告に厳しい刑を求めた。 検察側は「限定的だが、刑事責任能力がある」と有罪を主張。弁護側は控訴棄却を求め、結審した。 判決で坪井裁判長は、「犯行へのためらいとも解釈できる、『ほんまか』『信じるで』という発言も、"女性と結婚するための試練の内容が合っているかを確認するための発言"などと解釈することが不合理とは言えない」「妄想が屋根瓦のように積みあがる状態だったとすれば、発言の後に疑念が消え、妄想の内容を確信するに至ったと説明することもできる」「被害者を人ではないと考えていたとすれば、"殺人の禁止"という規範に直面していたと言えず、善悪の判断能力に疑いが生じる」などと指摘。「自分と女性以外が『哲学的ゾンビ』だと確信し、その妄想の圧倒的な影響下で犯行に及んだ疑いを払拭できない」と改めて結論づけ、「精神疾患の影響で心神喪失状態だった疑いがあるとした一審判決に誤りはない」と結論付けた。 |
備 考 | 2021年11月4日、神戸地裁の裁判員裁判で、求刑無期懲役に対し、一審無罪判決。上告せず確定。 |
氏 名 | 大谷竜次(47) |
逮 捕 | 2018年2月12日 |
殺害人数 | 2名 |
罪 状 | 殺人、死体遺棄、窃盗 |
事件概要 |
住所不定、無職の大谷竜次被告は2018年2月7~8日、埼玉県所沢市にある知人女性(当時76)宅で、別居していた女性の次男で幼稚園バス運転手の男性(当時53)の胸や背中などを多数回包丁で刺して殺害した。さらに女性も浴槽に沈め、溺死させた。そして女性宅に住み込みで介護などの身の回りをしていた知人男性SY元被告とともに、男性の遺体を1階浴槽に遺棄した。同日午後1時35分ごろ、女性名義の銀行口座からキャッシュカードを使って573,990円を引き出して盗んだ。 大谷被告は現場とは別の住宅で、女性の長男と同居していた。SY元被告は次男と中学時代の同級生だった。 2人の遺体は8日午後、発見された。埼玉県警は12日午後、電車で千葉市内まで逃走していた大谷被告とSY元被告を死体遺棄容疑で逮捕した。3月6日、さいたま地検は2人を処分保留で釈放したが、埼玉県警は銀行口座からお金を引き出した窃盗容疑で2人を再逮捕した。 2019年4月4日、初公判がさいたま地裁(石川慧子裁判官)でそれぞれ開かれ、2人はそれぞれ起訴内容を否認。2人の弁護側はいずれも、女性の承諾を得て現金を引き出したと主張した。 16日の大谷被告の第2回公判で、SY元被告が証人として出廷。女性の介護をするようになった経緯や、事件前日に遺体で見つかった女性の次男とトラブルになっていたことなどを明らかにした。検察側の証人尋問でSY元被告は、女性の介護を巡って次男ともみ合いになっていたことを説明。その後、女性にカードを渡され、「お金を下ろしていいと言われた」などと証言した。また、翌日外出する際の女性と次男の様子について問われると、「お湯の中に入って死んでいた」と述べたが、2人が死亡した詳しい経緯などについては語らなかった。大谷被告は黙秘する姿勢を示したので、被告人質問は行われなかった。 17日のSY元被告の第2回公判で、被告人質問などが予定されていたが、弁護側が主張の変更を申し出たため行われなかった。 5月28日の大谷被告の第3回公判で、検察側は大谷被告に懲役1年6月を求刑して結審した。 同日のSY元被告の第3回公判で、証拠調べが行われた。証人として出廷した大谷被告は、女性方に出入りしていたことなどは認める一方で、事件前後に関することについては証言を拒否した。その後の被告人質問は、佐久間被告が黙秘する姿勢を示したため行われなかった。 6月19日、埼玉県警は次男の携帯電話を盗んだ窃盗容疑で2人を再逮捕した。 7月1日、埼玉県警は次男への殺人容疑で2人を再逮捕した。23日、さいたま地検は次男への殺人と死体遺棄罪で大谷被告を起訴した。SY元被告の殺人容疑は処分保留とし、死体遺棄罪で起訴した。携帯電話を盗んだ窃盗容疑については、2人も不起訴とした。 11月13日、SY元被告の追起訴審理がさいたま地裁で開かれ、SY元被告は次男の死体遺棄容疑を認めた。 12月4日、SY元被告の論告求刑公判が開かれ、検察側は窃盗と死体遺棄罪で懲役3年6か月を求刑、弁護側は窃盗罪については無罪を主張し結審した。 20日、さいたま地裁(石川慧子裁判官)は両方の罪を認定し、懲役2年を言い渡した。控訴せず確定。 2020年12月3日、埼玉県警は女性への殺人容疑で大谷被告とSY元被告を再逮捕した。24日、さいたま地検は大谷被告を女性への殺人罪で起訴した。SY元被告は処分保留で釈放した。 |
裁判所 | 最高裁第三小法廷 渡辺恵理子裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 | 2023年9月26日 懲役28年(被告側上告棄却、確定) |
裁判焦点 | |
備 考 | 2022年3月18日、さいたま地裁の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し、懲役28年判決。2023年4月20日、東京高裁で被告側控訴棄却。 |
氏 名 | 内田潤(40) |
逮 捕 | 2020年11月9日 |
殺害人数 | 1名 |
罪 状 | 強盗致死他 |
事件概要 |
茨城県水戸市の解体業、内田潤被告はひたちなか市の無職の元少年(事件当時19)と共謀。2016年2月1日午前3時から同5時45分ごろまでの間、城里町の資材置き場で積まれていた銅線などを盗むためトラックに載せていた際、敷地内に住む銅線やアルミを扱う古物商の男性(当時77)に見つかったため、男性の頭や顔を殴り、首を両手で締め、顔や両手首に粘着テープを巻き付けるなどして死亡させ、銅線など約6トン(計108万円相当)を奪った。 他に内田被告は3日前の1月29日、元少年の弟と共謀し、男性方の無施錠の出入り口から銅線などを盗む目的で侵入し、気付いた男性の顔面に催涙スプレーを吹き掛け、抵抗され逃走した。 内田被告は当時1人で解体業を営んでおり、男性とは資材の売買といった取引を通じた面識があった。元少年は、内田被告の下で働いていたことがあった。 1日朝、男性の妻が男性の遺体を発見した。 県警は2020年10月、内田被告ら2人が男性殺害の数時間前に水戸市内の建設会社からコンテナ1台(約6万円相当)を盗んだとして窃盗容疑で逮捕。盗んだコンテナが男性殺害後の敷地内に残されていたことから、捜査本部は慎重に裏付けを進めた。 捜査本部は11月9日、別の事件で服役中だった内田被告と、別の事件の傷害罪などで公判中だった元少年を強盗殺人の容疑で逮捕。水戸地検は2人を強盗致死罪で起訴した。同地検は罪名変更の理由を明らかにしていないが、殺意の認定が困難と判断したとみられる。元少年は逮捕時に成人だったため、20歳未満が対象の少年法ではなく、成人と同じ刑事訴訟法の手続きが適用されて裁判員裁判で審理される。 |
裁判所 | 最高裁第一小法廷 深山卓也裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 | 2023年11月29日 懲役28年(被告側上告棄却、確定) |
裁判焦点 | |
備 考 |
共犯の元少年は2022年12月14日、水戸地裁の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し、一審懲役27年判決。被告側控訴中。 2022年2月16日、水戸地裁の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し、一審懲役30年判決。2023年8月30日、東京高裁で一審破棄、懲役28年判決。 |
氏 名 | 安保友佐(29) |
逮 捕 | 2019年12月8日(現行犯) |
殺害人数 | 2名 |
罪 状 | 殺人、公務執行妨害 |
事件概要 |
さいたま市の無職安保友佐(あんぼ ともすけ)被告は2019年12月8日午後6時5分ごろ~同6時47分ごろ、集合住宅で同居する妹(当時24)の頭部や顔面、左腕を包丁やナイフで切り付けるなどして殺害し、妹の息子(当時3)の頭部や顔面を包丁で複数回切り付け、殺害した。また、駆け付けた警察官につかみかかるなどの暴行を加えた。 安保被告は妹、甥、母親、兄との5人暮らし。事件当時、母親と兄は外出して不在だった。 午後6時10分ごろ、「赤ちゃんの泣き声と男の笑い声が聞こえる」と近隣住民の男性から100番があり、署員が部屋を訪ねた。しばらく応答がなかったが、同47分ごろ、突然ドアが開き、包丁を持った安保被告が向かってきたため、署員は取り押さえ、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕した。 30日、県警は妹に対する殺人容疑で安保被告を再逮捕。2020年1月19日、甥に対する殺人容疑で再逮捕。7月3日、さいたま地検は殺人と公務執行妨害の罪で起訴した。 |
裁判所 | 東京高裁 島田一裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 | 2023年12月15日 懲役20年(一審破棄) |
裁判焦点 | 判決理由で島田一裁判長は、執拗かつ残虐な犯行で死亡した2人の苦痛や恐怖は計り知れないとした一方で、被告の妄想による影響を指摘。完全責任能力を認めたさいたま地裁判決は不合理だとして「精神障害が与えた影響は相当大きい」と判断し、心神耗弱状態であったと認定した。 |
備 考 | 2022年11月7日、さいたま地裁の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。おそらく上告せず確定と思われる。 |
氏 名 | 大坂正明(74) |
逮 捕 | 2017年5月18日 |
殺害人数 | 1名 |
罪 状 | 殺人、現住建造物等放火、傷害、公務執行妨害、凶器準備集合 |
事件概要 |
1971年11月14日午後、革命的共産主義者同盟全国委員会(中核派)は米軍駐留を認めた沖縄返還協定の批准阻止を掲げて「11・14 全国総結集・東京大暴動闘争」を宣言し「渋谷に大暴動を」などと呼びかけ、同派系全学連の学生ら約5,000人が渋谷駅周辺に集結。千葉工業大学の学生で中核派活動家の大坂正明被告(当時22)は小田急線代々木八幡駅で下車し、火炎瓶や鉄パイプ、竹ざおを持った仲間約150人とともに渋谷駅に向かった。約700メートル先にある東京都渋谷区の渋谷署神山派出所近くで、新潟県警から派遣されていた中村恒雄巡査(当時21)ら27人の機動隊部隊と遭遇。星野文昭元受刑者の指揮下、大坂被告の「殺せ、殺せ」との怒号に呼応した一部が、火炎瓶を投げて攻撃し、派出所に放火した。そして中村巡査の頭などを鉄パイプで殴り、火炎瓶で火をつけるなどして、殺害した。中村巡査は死後、警部補に2階級特進した。新潟県警の別の警察官3人も火傷を負うなどの重傷を負った。 この「渋谷暴動」で警察官ら数十人が負傷。渋谷駅のハチ公前広場や、道玄坂など一帯の路上が火炎瓶によって炎上し、約300人が逮捕された。 中村警部補殺害では、1972年2月2日に奥深山幸男元被告らが逮捕された。4月4日に荒川碩哉(ひろや)元受刑者が、1975年8月6日に星野文昭元受刑者が逮捕された。大坂被告は逃亡、1972年2月21日に指名手配された。大坂被告は渋谷暴動後、仲間の家などを転々としていたが、1973年11月を最後に足取りは途絶えた。 奥深山幸男元被告が1972年に起訴されたことから、共犯者の判決確定まで時効が進まないとする刑事訴訟法の規定に基づいて、大坂被告の時効が停止。さらに1981年に奥深山元被告の公判が病気を理由に中断。当時の殺人罪の公訴時効期間だった15年が過ぎた1986年になっても大坂被告の時効は成立しなかった。そして2010年に殺人罪の公訴時効が撤廃されたことから、捜査は継続された。 2012年3月、警視庁が東京都立川市の中核派アジトを摘発した際、押収資料などから生存していることが判明。全国の警察当局が行方を追っていた。 大阪府警は2017年5月18日朝、偽名で兵庫県内のホテルに宿泊したとして、旅館業法違反容疑などで同派非公然活動家Sの捜査で広島市安佐南区のマンション3階の同派非公然アジトを有印私文書偽造・同行使容疑などで捜索。室内にいた大坂被告が捜査員に体当たりして逃げようとしたため、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕した。また一緒にいたSも逮捕した。 大阪被告は黙秘したため、警察当局は死亡前に提出を受けた母親のDNA型や、姉、いとこのDNA型と照合し、身元の確認を進めた。また指名手配写真との画像鑑定などの結果、捕まえた男を大坂被告と断定。警視庁公安部は6月7日、大坂被告を殺人、現住建造物等放火、傷害、公務執行妨害、凶器準備集合の5容疑で再逮捕した。奥深山元被告は2017年2月に病死したが、そこまで時効は進行しなかったため、全ての容疑で時効は成立していなかった。 2018年3月26日の第1回公判前整理手続きで、大坂被告は初めて本人と認めた。 |
裁判所 | 東京地裁 高橋康明裁判長 |
求 刑 | 無期懲役 |
判 決 | 2023年12月22日 懲役20年 |
裁判焦点 |
2022年3月10日付で東京地裁は、裁判員裁判の対象から外し、裁判官のみで審理することを決定。「中核派が公判に多大な関心を寄せている」と指摘。裁判員が容貌等を把握されると、危害が及ぶ恐れがあると判断した。 2022年10月25日の初公判で、大坂正明被告は冒頭の罪状認否で「五つの罪名全てにおいて無実であり、無罪である」と述べ、無罪を主張した。またメモを手に「(目撃者の)供述調書は長時間の取り調べや誘導によって作られたものだ」などと語った。さらに渋谷暴動は沖縄返還に伴う協定に関する闘争の一環だったとした上で「沖縄返還協定の批准に反対していた。沖縄には永久に基地が残ることになり、正当性は証明された。沖縄は今、再び戦争の最前線に立たされようとしている。返還協定に反対した私を裁くことは不当だ」とも述べた。 検察側は冒頭陳述で、大坂被告は「神山派出所付近でデモ集団の先頭にいた」と説明。大坂被告が星野文昭元受刑者らと共に、中村恒雄巡査を取り囲んだと指摘。同被告は「殺せ、殺せ」と叫び、他のメンバーが無抵抗な中村巡査を殴打して火炎瓶を投げ付けた後、元受刑者らと共に逃走し、翌日の集会で「機動隊1人をせんめつした」と演説していたと指摘した。 弁護側は、大坂被告は、途中で遭遇した警察車両を追いかけてデモ隊から遅れたと主張。再びデモ隊に戻るために急いだものの、神山派出所付近を通った時には、検察側が主張する警察官への暴行は既に終わっており、暴行や殺害には「一切関与していない」と訴えた。翌日の集会で「せんめつした」などと演説した事実もないと反論した。そして「警察は現場で多くの写真を撮影していたが、大坂被告はどこにも写っておらず、客観的な証拠は何もない」「面識のない群馬の大学生らによる50年前の供述調書が、唯一の証拠の異常な裁判。客観証拠は皆無で、調書は捜査官の強要などにより作成された」と強調。「デモ隊の最後尾にいて事件後に現場を走り抜けただけ。関与は一切ない」と反論した。51年前の事件の裁判であることに触れ、「証拠は散逸し、防御権の行使も十分にできない」と訴えた。 26日の第2回公判で、事件で大やけどを負った元巡査の男性らの証人尋問が行われた。事件当時、22歳だった元巡査はデモ隊が投げつけた火炎瓶で顔や下半身に全治1年4カ月の大やけどを負い、皮膚移植手術を複数回受け、約9か月入院した。現在も体に熱がこもりやすい後遺症を抱え、やけどの影響で家庭を持つことを諦めたとし「私の人生を台無しにした被告は絶対に許せない」と訴えた。機動隊の小隊長として放火された派出所付近の警戒に当たっていた男性の尋問も実施。「退却の際に隊員の背中に火がついていた」などと述べたが、デモ隊と対峙した具体的な状況は「一切記憶がない」とした。大坂被告について「火炎瓶で武装して治安を乱し、巡査を殺害した。法に従って厳罰に処してほしい」と話した。 11月1日の第3回公判でも、当時襲撃された派出所勤務の警視庁渋谷署員らが法廷に立った。 15日の第5回公判で、殺人罪などで有罪判決が確定し服役したデモ参加者の男性が証人として出廷。事件当時は16歳で、群馬県内の高専2年生だった。2日前には東京都内のデモ隊の拠点で大坂被告を目撃し、当時は名前を知らなかったが「怖い目つき」が印象に残ったと説明。事件当日、鉄パイプのようなもので大坂被告が機動隊員に真っ先に殴りかかったといい、自身も加勢して隊員に向かって火炎瓶を投げるなどしたと述べた。 一方、殺害現場で大坂被告が「殺せ」と声を上げたかどうかについては「思い出せない」とした。一方、弁護側は、男性が逮捕後の取り調べで警察官から大坂被告の名前や写真を示されていたとして、証言は信用できないと主張した。 その後の公判でもデモ参加者3人の証人尋問が行われたが、事件の詳細を尋ねても「記憶にない」といった回答が大半。記憶がある場面でも、捜査段階の供述調書と食い違う部分が多数みられた。12月の公判で事件当時18歳だった男性は証人尋問で、「事件当時に見たことはなく今日法廷で初めて被告と会った」と、真逆の内容を述べた。検察・弁護側の双方が食い違いの理由を尋ねると「取り調べが終わらず作り話をしてしまった」と説明した。 2023年3月7日の公判では、デモ参加者の取り調べを担当した元検事の証人尋問が実施された。車いすで出廷した元検事は80代後半。取り調べを担当した被疑者については「一部記憶がある」としたものの、冒頭の本人確認から自分の年齢を間違えたり、デモ参加者の名前を混同するなど、やりとりがかみ合わない場面も見られた。 7月18日の公判で被告人質問が行われ、大坂被告は死亡した機動隊員について「殴っていません」と話し、当日のデモに参加したことを認めた上で、改めて関与を否定した。ほかのデモ参加者に指示を出していたとする関係者の証言についても「重要な役割を与えられることはなかった」と反論した。被告に似た人物がいるとされた現場写真を示されると、服装や持ち物が異なるとして、いずれも「自分ではない」と主張した。 当時の機動隊に対する認識を問われると「圧倒的に強く、人数が同じなら自分たちは負けると思っていた」とし、「機動隊員を殺そうと思っていたか」との質問には、「そこまでイメージできず、力もなかった」と答えた。自身の指名手配について「不当な手配だと思ってずっと闘ってきました」と話す一方で、逃亡中、どこで何をしていたかについて裁判で説明する意思は「ありません」と述べた。 21日の公判でも被告人質問が行われた。検察側は暴動前の活動について確認。大坂被告は出席した会議のメンバーなどを問われると「覚えていない」と答えた。「中核派は今も暴力革命を目的としているのか」。最近も中核派の集会などにメッセージを寄せているとして検察官がこう尋ねると、被告は「この裁判と関係あるんですか。答える必要はない」と語気を強めた。事件で亡くなった中村恒雄巡査への思いを尋ねられると、「私が機動隊員の死に直接関与していると印象付ける質問なので、答えない」と回答を打ち切った。45年以上に及んだ逃亡生活中の資金の工面や、支援者の存在についても、「答えない」を連発した。 10月19日の論告で検察側は、大坂被告が暴動に積極的に参加し中村巡査への暴行にも加わっていたなどとする複数の証言や供述について、「主要部分が合致しており信用できる」と述べ、「大坂被告の弁解は罪を免れようとする虚偽の主張だ」と批判した。そして「暴力革命の実現を目指した犯行動機は反社会的で悪質だ」としたうえで、「無抵抗の警察官を多数回殴り、生きたまま焼き殺した、他に類を見ない残虐非道なリンチ殺人だ」と非難。大坂被告については「星野元受刑者の右腕として集団に指示を出し、自らも中村巡査を殴り付けた」と指摘。「中核派の支援を受け46年間逃亡を続け、今も反省していない」と非難した。そして「犯行態様は残虐で非人道的。社会的な影響も極めて重大で、再犯の恐れも大きい」などと述べた。 10月26日の最終弁論で、弁護側は事件直後の供述調書で「被告が殺害現場にいるのを見た」と説明したデモ参加者の中に、「検事の作文だった」「覚えていないことを話した」として証言を撤回した人が複数いると指摘。今も証言を維持している人も、「重要な部分で変遷があり、写真などの客観証拠とも一致しない」として、信用性がないと強調。また、大人数が入り乱れて混乱し、極度の緊張状態にあったデモ参加者らが、被告を正確に認識できる状況ではなかった、とも主張した。そして「被告の証言は具体的、詳細で全体として信用できる」「50年以上前の事実を刑事裁判で明らかにするのは困難」などと指摘し、改めて無罪を主張した。 同日の最終意見陳述で大坂被告は、当時、デモには参加していたが、巡査の殺害に関して「途中でパトカーを追いかけたため、隊列からおくれをとった」「巡査が倒れた現場に遅れて到着したので、殴ってもいないし火炎瓶を投げてもいません」と述べた。そして、「現場で大坂被告を見た」と証言したデモ参加者たちの供述調書について、「信用性がない」と主張し、「指名手配され逮捕・起訴されたことは理不尽だ」「沖縄の声に答えようとして私はこの裁判に臨んでいる」「無罪判決を求めます」と述べた。 判決で高橋裁判長は、証言には記憶の減退や変容が著しいと指摘する一方で、4人のうち3人の調書は具体的かつ詳細で「核心部分に高い信用性がある」と判断した。証言を翻した2人のうち1人の調書の信用性を否定したものの、他3人の調書の内容で、被告の犯行だと認められるとした。その上で、被告はデモ隊のリーダーを補佐する立場にあり、中核派の方針によって事件を起こしたとし、被告が殺害の実行行為の一部を担ったと認定。派出所への放火などでも「包括的な共謀を遂げた」とした。そして「無抵抗の被害者に対し、多数の者が一方的に鉄パイプなどで殴打するなど苛烈な暴行を加え続け、火炎瓶を投げつけて致命傷となるヤケドを負わせた犯行は残虐かつ非道」と述べた。72年に指名手配された被告が長年逃亡を続けたことも「45年以上中核派の支援で逃走を続けた。厳しい非難を免れない」と述べた。弁護側は公訴時効の成立も訴えていたが、共謀したとされる男性の公判が病気を理由に停止し、被告の時効の進行も止まっていたとして退けた。一方で「社会と隔絶されたまま、すでに高齢に達した」とも指摘。共犯者の量刑なども踏まえ、懲役20年を選択した。 |
備 考 |
中村警部補殺害については、当時高崎経済大生だった星野文昭元受刑者ら6人が逮捕、起訴された。 1人は東京地裁で懲役4年以上6年以下の不定期刑、東京高裁で一審破棄、懲役7年の判決が確定。 1人は東京地裁で懲役3年以上5年以下の不定期刑、東京高裁で控訴棄却、確定。 1人は東京地裁で懲役4年以上6年以下の不定期刑、東京高裁で一審破棄、懲役5年以上7年以下の判決が確定。 総指揮者とされた星野文昭元受刑者は殺人、現住建造物等放火、公務執行妨害、傷害、兇器準備集合、同結集の罪で起訴。1979年8月21日、東京地裁で懲役20年判決(求刑死刑)。1983年7月13日、東京高裁で一審破棄、無期懲役判決。1987年7月18日、被告側上告棄却、確定。 荒川碩哉(ひろや)元受刑者は殺人、現住建造物等放火、公務執行妨害、傷害、兇器準備集合、同結集の罪で起訴。1979年8月21日、東京地裁で懲役13年判決(求刑懲役20年)。殺人の代わりに傷害致死を適用。1983年7月13日、東京高裁で検察・被告側控訴棄却。1987年7月18日、被告側上告棄却、確定。 奥深山幸男元被告は殺人、現住建造物等放火、公務執行妨害、傷害、兇器準備集合の罪で起訴。1979年10月23日、東京地裁で懲役15年判決(求刑無期懲役)。控訴中の1981年、精神疾患を理由に控訴審が停止。2017年2月7日、入院先の群馬県内の病院で死亡した。68歳没。 星野文昭元受刑者は無罪を主張し、1996年4月17日、東京高裁に第一次再審請求。2000年、東京高裁は請求棄却。2004年、東京高裁は異議申立棄却。2008年7月16日付で最高裁第三小法廷は特別抗告棄却。2009年11月27日、東京高裁に第二次再審請求。2012年3月30日付で請求棄却。異議申立中の2019年5月30日、収容先の東日本成人矯正医療センター(東京都昭島市)で肝臓がんで死亡。73歳没。再審請求は終了した。 星野元受刑者の妻は刑務所での治療に問題があったとして2020年、国に5,500万円の損害賠償を求める国家賠償請求訴訟を提起。第三次再請求準備中。 大坂被告と一緒に逮捕され、犯人隠匿罪に問われた中核派活動家の男性は2018年4月27日、大阪地裁で懲役1年8月判決(求刑懲役2年)。 被告側は即日控訴した。 |