『おもしろ推理パズルPART.4 ミステリー春夏秋冬』
著者:藤原宰太郎
(藤原宰太郎:推理クイズ作家として数々の著書を執筆)
発行:光文社文庫
発売:1989年6月20日
定価:420円(初版時 税別)
この『おもしろ推理パズル』シリーズも、これが四冊目です。今回は歳時記ふうに、出題パズルを春夏秋冬に分けてみました。春には春らしい事件、夏には夏らしい事件といった具合です。
季節の特徴を巧みに利用したトリックもあれば、また反対に、自然現象のちがいによって、完全犯罪があばかれる場合もあります。
とくに日本は四季がはっきり別れていて、俳句に季語があるように、季節の移り変わりに敏感な国民です。とはいっても、最近は冷暖房の普及で、季節感もだいぶ薄らいできました。そのせいかミステリーでも、あまり季節にこだわらなくなった感じがして、さびしいかぎりです。その点、むかしのミステリーには、四季それぞれの自然現象をうまくトリックに応用した作品が多かったような気がします。
そんな思いから、このパート4では<ミステリー春夏秋冬>という副題をつけました。前の三冊と同様、小粒な掌編ながら、なぞ解きの本格もののエッセンスで味付けしてありますから、ミステリー版の俳句でも詠むような軽い気持ちで、推理パズルに挑戦してください。
【目 次】
第1章 春の難事件
第2章 夏のアリバイ
第3章 秋のトリック
第4章 冬の大密室
今回のテーマは春夏秋冬。取り上げられたのは初めてである。春の風物を利用したトリックや、夏の季節を利用したトリックなどが存在するのだから、そういうテーマで分けてみる価値は十分にある、トリック・推理クイズのテーマ別分類という意味もこのシリーズにあるのだから、クイズが再録でも許せるというものである。
ところが、全然季節に関連しないクイズもあるのだから、泣けてくる。「ある秋の夜」でクイズが始まり、あとは何の関連もない、なんてクイズはまだいいほうで、ひどいときにはなぜこれが夏の章に含まれているのか、というぐらい季節に何の関係もないクイズもある。どうせやるなら、もっと徹底してほしいものだ。
一応クイズには新作と思われるものも数問ある。とくにこのあとで出版される推理クイズ本には必ずある「形状記憶合金」のトリックが、(多分)今回初お目見えしている。
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