『トリック博士の事件簿 おもしろ推理パズルPART.6』
著者:藤原宰太郎
(藤原宰太郎:推理クイズ作家として数々の著書を執筆)
発行:光文社文庫
発売:1991年5月20日
定価:440円(初版時 税込)
『おもしろ推理パズル』シリーズも、これで六冊目になります。今回はちょっと趣向をかえて、推理トリック研究家の久我京介氏に登場してもらいました。彼は、光文社文庫から出ている私の長編推理小説、『密室の死重奏』『無人島の首なし死体』『早稲田の森殺人事件』で名探偵ぶりを発揮している人物です。目下、ライフワークの意気込みで『トリック百科事典』の執筆に没頭しているのですが、その忙しい執筆のあいまの息抜きに、ちょいと探偵役になってもらったのです。
この本では、彼の得意なミステリー談義を、たっぷり楽しんでいただくために、これまでのような短い推理クイズではなく、短編小説風にしてみました。十二の事件が、すべて犯人さがしの本格ミステリーになっています。久我京介のトリック談義を参考にして、怪傑編を読む前に、あなた自身で事件の謎をといて、ずばり真犯人を指摘してください。
これは、あなたとトリック博士・久我京介との推理くらべです。謎をとく手がかりは前半の問題編にちりばめてありますから、頭をフル回転させて挑戦してください。
『小説コットン』(天山出版)で1989年5月〜1990年4月の1年間、連載されていたものをまとめた一冊。タイトル通り短編小説風になっている。
毎朝新聞の石井記者が不思議な事件に遭遇すると、トリック研究家である久我京介を訪れる。久我はその事件のテーマ(誘拐とか鉄道とか)に関連したトリックを紹介する間に、事件の謎を解いてしまうという構成になっている。今までの推理クイズ本だったら「クイズ→解答→推理メモorコラム」になっていたものが、「クイズ→推理メモorコラム→解答」と順序を入れ替えているだけだ。→の部分を会話で繋いで小説風にしているが、中身は今までの推理クイズ本とほとんど変わらない。一応新作らしきクイズも用意されているが、それも過去のクイズをちょっと変化させただけに過ぎない。
小説雑誌で初めて藤原宰太郎を読んだ人には目新しかったかもしれないが、推理クイズ本にずっと接している方からしたら、今までの推理クイズ本の目先を変えただけに映るだろう。
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