『推理ゲーム トリックを見破れ』
著者:藤原宰太郎
(藤原宰太郎:推理クイズ作家として数々の著書を執筆)
発行:徳間書店 TOKUMA BOOKS
発売:1978年12月30日初版
定価:650円
(前略)
これら無数にあるトリックの中から、とくに交通機関、つまり乗り物に関するトリックばかりを集めてみました。しかし、それだけでも一冊の本には全部がおさまりきれないので、汽車、船、自動車、飛行機の四つのテーマに限定しました。これ以外の乗り物、例えば自転車やエレベーター、ロープウェーなどを利用した面白いトリックもありますが、残念ながら、今回は割愛せざるをえませんでした。
(中略)
これまでにも、鉄道ミステリーや航空ミステリーの短編を個々に集めたアンソロジーは何冊か出版されていますが、たった一冊の中に、これだけ盛りだくさんにトリックを集めたのは、本書がはじめてだと自負しています。これこそ交通ミステリーの博物館です。
第I章 航空トリック作戦
第II章 カートリック作戦
第III章 海洋トリック作戦
第IV章 鉄道トリック作戦
それぞれの章に、コラムが5〜10本含まれている。
藤原宰太郎トリック・テーマ別推理クイズの最初の本。ただ漠然と推理クイズを並べるのではなく、特定トリックという統一したテーマを持たせたのはお手柄かもしれない。とはいえ、過去の推理クイズ本に収録されている問題も、勿論(笑)ある。
トリックを統一したという点以外では、通常の推理クイズと変わらない。ただ、クロフツの某短編など、粗筋を引き写したような問題があるのは珍しい。また、ネタばらしの頻度も相当高い。いつも以上に粗い作りといえようか。
コラムでは航空ミステリ、海洋ミステリなどを紹介してくれているので参考になるが、所々でネタばらしをしているのには困ったもの。やはりこのコラムは読まない方が無難である。
この後も藤原宰太郎は交通ミステリーを集めたトリック本を出版している。特に1980年に出た『乗り物トリック』は、コラムも含めほとんど“移植”といってもいい。時代と共に交通機関は急速に発達していき、さらにはトラベルミステリの流行があったため、交通トリックも飛躍的に増えていった。新しい交通トリックはこれからも出てくるであろうし、いずれまた纏められることもあるだろう。
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