『名探偵登場』
著者:加納一朗
(加納一朗:SF、ミステリなど多数執筆)
発行:学研 ジュニアチャンピョンコース
発売:1973年4月15日初版
定価:480円(ただし、1981年19刷時)
推理小説のトリックは、すごくむずかしそうにみえても、たねあかしをすると、なあんだと思うようなものから、よくこんなことを考えたものだと感心するものまで、星の数ほどあります。
でも、いま、この時代に生きている人間が、いま、この時代にある道具や知識を使って考えだしたのですから、解けないはずはありません。もし、解けなかったら、その人が問題をあやまった方向からみているか、かぎを見落としているか、あるいは自分で思いこんでしまった考えから、どうしてもぬけられないで、こだわっているからです。
トリックを見破ることは、頭をやわらかくし、推理力をやしなう―ことになるわけですが、まずは、ここにおさめた問題に次つぎとアタックしてください。問題は推理小学校から推理中学校ぐらいまでです。すぐに、パッと犯人が分かってしまったら、どういうわけで犯人がわかったのか、その道筋を考えてください。それが、推理なのですから。
犯人がわからなかったら―どこでかぎを見落としたのか、もう一度、よくさがしてください。名探偵のように、手がかりをつかめば、あとはひとりでにわかってくるでしょう。
もっとも、作者のほうは、かんたんにわかってもらうと困るので、なだかんだとカモフラージュしていますが……。
では、きみたちの「灰色の脳細胞」が活やくすることを祈ります。
【もくじ】
<巻頭推理劇画> ホームズ対ルパン ダイヤのビーナス(モンキーパンチ)
<絵とき世界の名探偵> ホームズとルパン
<はじめに> 名探偵諸君へひとこと
第一章 犯人を割り出せ!
第二章 トリックをあばけ!
第三章 難事件にいどめ!
第四章 名探偵にちょう戦
藤原宰太郎『あなたは名探偵』の姉妹編という形で書かれたもの。文章推理や劇画なども多く、やや高学年向けである。問題そのものは、海外作品のトリックの引用が中心である。
『あなたは名探偵』で推理クイズの基礎を学んだら、本書で本番ですよ、そんな位置付けに例えればいいだろうか。劇画色が強く、小学生が読むには少々きつい気もするが、この頃の小学生はもう充分大丈夫だったんだろうなあ……って、自分も出版当時は小学生だったが、そんなに違和感はなかった。
推理クイズそのものについては毎度おなじみなもので、特にコメントすることはない。
巻頭はルパンとホームズが日本で対決するのオリジナルもので、描いたのはモンキーパンチである。
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