『SFゲーム』
知的プレーを楽しむクイズの本
著者:加納一朗
(加納一朗:SF、ミステリなど多数執筆)
発行:日本文芸社 TEST SERIES
発売:1973年
定価:400円(ただし、1973年5月20日再版時)
推理小説は日常の次元の小説である。どんなに奇妙な凶器も奇想天外なトリックも、種を明かされれば、人々の概念や認識の範疇にあるものである。しかし、サイエンス・フィクションは、そもそもの発想から“非日常の次元”にある小説である。マニア向きのパズル・ゲームでは一般にとっては外国語を聞いているようなものであろう。したがって、ここでは各項で、サイエンス・フィクション特有の用語の解説をかさねながら、“日常の次元”で答えが出るような問題に限定した。
また、推理的なパズルでは、いくつもの解答が出ては困るのだが、サイエンス・フィクションの、たとえばタイム・トラベル・テーマではひとつの問題にいくつもの解答が可能なものもある。マニアならパラドックスを楽しめるが、ここではタイム・トラベル・テーマにかぎり、問題の提出だけにとどめて、解答は読者の自由に委ねることにした。
いま、われわれがSFという略称で呼んでいるサイエンス・フィクションは、サイエンス・アンド・ファンタジーでもあり、サイエンスとはいっても科学に忠実であるわけでもない。字面にとらわれずに、思考実験の一形式として、特殊な状況設定をした文学の一ジャンルであると理解していただいて、楽しんでもらえれば幸いである。