夜釣りに行った男


【問 題】
 夜十時ごろ、マンションの屋上で殺人事件があった。二時間後に遺体が見つかり、警察の捜査が始まった。するとすぐに同じマンションの五〇六号室に住む山田が容疑者として浮かび上がった。警察は午前七時ごろに山田の部屋を訪れたのだが留守だったので、どこへ行ったか捜査するとともに、二人の刑事が朝まで張り込んで帰ってくるのを待っていた。すると午前八時ごろ、山田が釣り道具を担いで帰ってきた。扉を開けた山田に対し、刑事はさっそくどこへ行っていたかを聞いた。
「おい、昨夜十一時ごろ、君はどこに居たんだ?」
「昨日は夕方から釣りに行って、たった今帰ってきたところです。だから昨夜は一晩中、留守にしていました」
 山田はそう答えた。すると、部屋の奥からベルの鳴る音がした。山田は顔色が青くなった。
「君は嘘をついているようだな。警察で話を聞こうか」
 その通り、やはり山田は犯人だったのだ。では刑事は、山田がなぜ嘘をついていると見破ったのか。
 なおこれは、まだ携帯電話やデジタル時計すら普及していない頃の話である。


【解 答】
 部屋の奥でベルが鳴ったのは、目覚まし時計の音だったのだ。目覚まし時計は針をセットしたら必ず十二時間以内に鳴る。午前八時にベルが鳴ったということは、少なくとも昨夜八時以降に目覚まし時計をセットしたことになる。となると、夕方から釣りに行っていたという山田の話は嘘なのだ。

【覚 書】

 これも古い時代のトリック、というか犯人のミス探しですね。シンプルで好きです。海外の推理クイズにありそうですが。

 ※解答部分は、反転させて見てください。
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