登山家の死


【問 題】
 二人の登山家が夏山に上ったが、予定の10日間を過ぎても下山しないので、もしかしたら遭難したのではないかと救助隊が捜索に出かけた。
 すると、二人が谷間にあるすでにつぶれたキャンプ場で死んでいるのが発見された。二人とも全身打撲で即時状態だった。テントもぺしゃんこだった。テントの中で寝ているとき、何か大きな岩石のようなものが落ちてきて、押しつぶされたのだ。地面には、落下した物体の跡が残っていた。
 しかし、周囲にはそのような大きな岩石のようなものはなかった。谷底へ転がった形跡もない。
 となると犯人がどこかへ隠したのだろうが、推定1tもする重い物体をとても一人や二人で運べるものではない。
 しかも現場には被害者の足跡しか残っておらず、他の人の足跡や車などの跡、獣が歩いた跡すらなかった。もちろん、車など入って来られる場所ではないが。
 ではいったい、犯人はどんな凶器で二人の登山家を殺し、そしてその凶器をどうやって隠したのか。


【解 答】
 犯人は1tもある大きな氷をヘリコプターで運び、空からテントめがけて落としたのである。テントで寝ていた二人は押しつぶされて即死したのだ。そして10日間も経ったため、夏の日差しで氷は全て溶けてしまったのだ。

【覚 書】

 確かにこのトリックを使えば殺人は可能ですが、そんなものをどうやって準備し、どこから持っていくことができたのだろうか。まあ、そんなことを聞いちゃ、野暮なんですけれどね。

 情報をいただきました。後に西村京太郎が短編「甦る過去」(1998年発表)で使用しているとのことです。作者はこの推理クイズを知っていたのかどうか、気にかかります。

 ※解答部分は、反転させて見てください。
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