間抜けなスパイの犯行


【問題】

 これはまだ冷戦時代の話。
 共産主義国Cの命令を受けたスパイAは夜を待ってB国の科学者J宅に忍び込み、ロケットの図面を盗み出した。J宅の警報器につながる電源は事前に遮断してあったので安心だ。Aは近くに借りている一軒家まで戻り、翌日の朝には移動する予定だった。
 ところが物音で目覚めたJはロケットの図面を盗まれたことに気付き、すぐに秘密警察に連絡した。捜査員は警察犬を連れており、残された足跡の臭いを嗅がせて追跡すると、Aが隠れている一軒家にたどり着いた。捜査員はすぐに周りを取り囲み、そしてドアのベルを鳴らした。
 Aは一瞬慌てたが、万が一のために変装をしていた。抜かりのない自分を誇らしく思いつつ、ドアを開けた。
「どちらさまでしょうか」
「警察だ」
「何かあったのでしょうか」
「ある家に泥棒が入ったので、調べに来た。君は今までどこにいた?」
「どこにいたといわれても、この通り左足を怪我して歩けないので、ずっと家の中に居ました」
 Aは事前に左足に包帯を巻いていたのだ。歩けない芝居をすれば、逃げ切れるだろう。Aは右手の杖に力を込めながら答えた。
「泥棒か何かわかりませんが、私は歩けないので何もわからないです」
 Aは自信満々に答えたが、それはあまりにも間抜けな芝居だった。
「君は嘘をついている。まずは署まで来てもらおうか」
 嘘は何故ばれたのだろう。

【解答】

※解答部分は、反転させて見てください。

 左足を怪我していたのなら、杖は当然左手に持つものだ。Aは杖を右手に持ったため、嘘がばれたのだ。

【覚書】

 藤原宰太郎や加納一朗の推理クイズで見かけるが、他の人も同じような推理クイズがあるので、割とポピュラーなクイズのようだ。
 元ネタはH・A・リプリーの推理クイズ「フォードニー教授の好奇心」です。藤原宰太郎はアレンジしているが、加納一朗は名前だけ日本人にして、後はまったく同じクイズです。
 ただ医者に聞くと、本当は怪我している足の反対側に杖を持つべきなんですよね……。昔の常識は違ったのかな。


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