消えた凶器


【問 題】
 久々の休暇、砂丘に遊びに来た片田警部。裸足になって砂の上を散歩していたら、向こうから女性の叫び声が聞こえてきた。慌てて駆けつけると、一人の女性が倒れていた。後頭部に何か固い棒のような物で殴られた痕があり、すでに意識がなかった。そして走って逃げていた男性。しかし足がもつれており、まるで病人のようだ。難なく追いついて男を捕え、尋問を始めた。
「お前が彼女を殴ったんだろう」
「知らないよ、俺は。いきなり男が来て、殴っていったんだ」
 しかし砂丘には、倒れている女と、捕まえた男、そして片田警部の足跡しかなかった。当然、捕まえた男が女を殴ったに違いない。女性の息はあったので、とりあえず携帯電話で救急車を呼び、男の身体検査をはじめた。ところが、タバコ、ライター、財布、脱いだ靴下ぐらいしか男は持っていなかった。女性も同様で、何も持っていない。
 ならば、どこかに埋めたのかと思い、男の足跡を辿ってみたが、どこにも埋めた様子はなかった。しかし、男が犯人であることは間違いない。いったい、固い棒のようなものの凶器はどこに消えたのか。もちろん、共犯者はいない。


【解 答】
 靴下に砂を詰め込んで、凶器とした。いわゆる、手製のブラックジャックである。女を殴った後、砂を砂丘に捨て、靴下はポケットに丸め込んだのだ。

【覚 書】

 推理クイズではよくあるネタの一つ。ただ、色々調べても、この凶器を取り扱ったミステリを見たことがない。トリック研究ものでも、全然見たことがない。有名なトリックだと思うが、なぜだろうか。砂丘だけではなく、
金魚鉢に砂を捨てるというトリックもよく見ます。

 ※解答部分は、反転させて見てください。
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