身代金はどこに
【問 題】
大金持ちの子供が誘拐され、身代金一千万円が要求された。身代金はバッグに入れ、○○駅のロッカーに入れろとのことだった。もちろん、ロッカーの鍵はかけずにだ。父親はすぐに警察に電話した。
要求日、父親は指定されたロッカーに金の入ったバッグを入れた。もちろん刑事たちは、犯人に分からないように監視していた。父親がロッカーにバッグを入れてから15分後、一人の若い女性がロッカーからバッグを取り出した。周囲を確認しようともせず、非常に大胆だ。その場で捕まえたかったが、子供の安否を考えるとそうはいかない。刑事たちは女性を尾行することにした。
女性は駅を出ると、すぐにタクシーを拾った。こういう場合を想定して、覆面パトカーが準備してあった。タクシーは約30分走り続け、隣町の××駅に着いた。バッグを抱えた女性は駅のホームに入り、ロッカーにバッグを入れて鍵を掛けた。刑事は後を追いかけたが、女性は発車寸前の列車に飛び乗り、無情にもドアが閉まってしまった。尾行に失敗したのだ。
尾行には失敗したが、バッグはまだロッカーにある。いつか取りに来るものと見張っていたのだが、何時間経っても誰も取りに来ようとしない。そのうちに、父親から警察に連絡が入った。子供が無事に戻ってきたというのだ。驚いた警察は駅に訳を話し、合い鍵でロッカーを開けると、そこにはまだバッグがあった。しかし、バッグの中身は空っぽだった。「そんなバカな」と見張っていた刑事たちは呻いた。バッグが入ったロッカーはもちろん、周辺のロッカーには誰も近寄らなかった。女性は小さなハンドバッグこそ持っていたが、そこに一千万円もの札束が入るわけがない。
いったい、犯人はどの様な手段で身代金を奪うことができたのか。もちろん、警察、そして被害者に共犯はいない。
【解 答】
犯人は、実は女性が拾ったタクシーの運転手だった。女性はただタクシーの運転手に頼まれ、バッグを取りに行っただけだったのだ。運転手はバッグを受け取ると助手席の下に金を落とし、また空のバッグを女性に預け、ロッカーに入れるように頼んだのだ。もちろん、女性に謝礼ははずんでだ。警察は、通りがかりのタクシーを拾ったものとばかり思ったので、タクシーの運転手を調べなかったのが失敗だった。
【覚 書】
これ、話としては面白いですけれど、実際には不可能でしょうね。もし、新聞記事にでもなれば、当事者が名乗り出てくるはずですよ、きっと。それとも関わり合いになりたくないと、黙ったままでいるかな?
※解答部分は、反転させて見てください。
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