血液型は知っていた


【問 題】
 ある暑い夏の夜だった。草が生え放題の河原に二人の男女が座っていた。男は別れたがっていたが、女はそれを嫌がった。男はおもむろにジュースを二本取り出し、喉が渇いていた二人は飲み始めた。半分ほど飲んだとき、女の手から瓶が転げ落ち、ばったりと倒れ、そのまま動かなくなった。男が女のジュースに毒を混ぜていたのだ。男はジュースや栓抜きから自分の指紋をふき取り、彼女の手に握らせて指紋を付け、そばに置いた。男は落ち度がないことを確かめ、闇夜に紛れて姿を消した。
 翌日、男の元に警察が訪れて、いきなり逮捕した。男の血液型は二千人に一人という珍しい血液型だったが、その血液が現場に落ちていたというのだ。しかし男は怪我などしていないから、血液が現場に落ちているはずがない。キス一つしていないから、唾液から血液型が判明したというわけでもないはずだ。これはいったいどういうことなのか。


【解 答】
 暑い夏の夜でしかも場所が草ぼうぼうの河原なら、当然蚊が飛んでいる。男は女との会話中、無意識に蚊をたたき落としていた。その蚊が男の血を吸っていたのだ。吸ったばかりの血なら、血液型の鑑定は充分出来る。

【覚 書】

 これを最初に読んだのは小学生でした。本当にそんなことが可能なのか、不思議に思うとともに、科学捜査の素晴らしさに感動したものでした。
 元ネタが判明しました。ローレンス・G・ブロックマン「やぶへび」(『北村薫の本格ミステリ・ライブラリー』(角川文庫)収録)でした。らぶぼーど様、情報ご提供、有り難うございました。

 ※解答部分は、反転させて見てください。
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