名案


【問題】

 銀行の出納係が残業をしていた。外は昨夜から雪が降り続いているが、この金庫室にはガス・ストーブが赤々と燃えていて、とても暖かい。
 帳簿の整理が終わり、現金の袋を三つ下げて金庫に納めようとしたとき、強盗が入ってきた。ピストルの銃口がこちらに向けられていた。泥棒は銀行の扉に鍵をかけ、再び金庫室に戻った。近くの空袋を取り、出納係に金を詰めさせた。金を詰めたら殺される、そう思っているうちに出納係はある名案を思いついた。彼は金を詰めながら、泥棒に気付かれないように実行した。
「もう一つの金庫も開けろ」
「残念ながら、そのピストルは役に立たないよ。引き金を引いたらどうなるかわかるだろう」
 泥棒がその事実に気付くと同時に、出納係は金庫室から逃げだし、金庫室の鍵をかけてしまった。この間、泥棒は引き金を引くことはなく、立ち止まったままだった。
 では、出納係の名案とはいったい何だったのだろう。

【解答】

※解答部分は、反転させて見てください。

 出納係は泥棒に気付かれないようにガス管を踏みつけたのだ。ガスが来ないのでストーブの火は消える。そして足を放すと再び流れ始め、やがて金庫室にガスが満ちる。そんな状態でピストルを撃つと爆発する。泥棒はその事実に気付いたので引き金を引くことができなかった。

【覚書】

 問題は部屋の大きさですね。金庫室だから相当狭いと思いますが、さて、どれぐらいの時間が必要なのか。実験して確認しないとこのアイディアは難しい。
 元ネタはカール・クローゼン「雪の誕生日」です。


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