『くろて団は名探偵』
ハンス・ユルゲン・プレス
(1926-2002。ドイツの子どもの本のイラストレーター、作家。1944年ハンブルクに移り住み、挿絵や漫画を描き始める。1953年より有名な週刊誌『シュルテン』の子ども欄を担当。『くろて団は名探偵』は、その人気連載から誕生した。緻密なイラストを持ち味とし、科学もの、パズルなども多く手がけた。息子のユリアン・プレスも作家、イラストレーターとして活躍。)
大社玲子訳
発行:岩波少年文庫
発売:2010年9月16日初版
定価:680円+税(初版時)
四十九番地の家のギシギシきしむ七十二段の階段をのぼったところ、ちょうど屋根のそばのハト小屋の下に、<空港>と名づけられたかれらの本部があるのです。くろて団の団員は放課後、そこに、定期的に集合しました。
リーダーは、ラッパを吹くフェリックス。それから、頭の回転のはやいアデーレ、いつもしまのセーターを着ているロロ、さいごにキキと、いつもキキのおともをしているリスがいます(これからは、リスづれキキと呼びます)。
くろて団の冒険は、いまから半年まえ、かれらの本部<空港>ではじまりました。この子どもたちが、どのようにして名探偵になったかは、この本を読めばわかります。
【もくじ】
なぞの家
ビーバー湖の宝物
密輸業者のトンネル
動物園のどろぼう
原著は1965年にドイツで発行。面白さにほれ込んだ訳者により、1984年に佑学社から刊行されたものの、版元がなくなって絶版状態だった。人気があったとみえ、2010年に岩波少年文庫より復刊された。
4人と一匹のくろて団が事件に遭遇したり、きっかけを見つけたりし、事件を解明しつつ、しかるべき時に大人や警察に報告するというスタイルがとられている。3ページの文章で問題が出され、その答えが4ページ目の絵に載っている。次のページで答えが明かされ、さらにストーリーが進む形になっている。
問題の答えは絵を見ればわかるようになっているが、注意深く見ないとわからないものが多い。ストーリーをしっかり読んでおかないと、見過ごしてしまうものもある。子供心をくすぐるようなストーリーにもなっており、ただ問題を解くだけの作品とは異なる面白さがある。
検索してみると、当時結構人気があったようだが、読んでみるとそれがわかる。他にも本を出していないのかなあ、この作者。続編があるようなら絶対見てみたいのに。
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