新保博久『推理(ミステリー)劇場 マジカル探偵の挑戦』(KKベストセラーズ ワニの本)


『推理劇場 マジカル探偵の挑戦』

 『推理(ミステリー)劇場 マジカル探偵の挑戦』

 著者:新保博久
 (新保博久:1953年京都市生まれ。早稲田大学第二文学部美術専修卒。在学時はワセダミステリクラブに所属。ミステリの書評、文庫解説、アンソロジーの編纂などで多忙な日々を送る。著書多数。2001年、『日本ミステリー事典』(権田萬治との共同監修)で第1回本格ミステリ大賞(評論・研究部門)受賞。2003年、『幻影の蔵』(山前譲との共著)で第56回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)受賞。2025年、『死体置き場で待ち合わせ 新保博久 法月綸太郎 往復書簡』(法月綸太郎との共著)で第25回本格ミステリ大賞(評論・研究部門)受賞)

 イラスト:野間美由紀

 発行:KKベストセラーズ ワニの本
 発売:1992年8月5日初版
 定価:820円


 テレビ番組「マジカル頭脳パワー!!」の中のミステリー劇場のために考案したトリックをもとに、探偵役を替え、新たに書下ろして、この本は生まれた。既成のトリックからのイタダキ、同じネタの三番煎じ四番煎じ、単に百科事典知識を問うもの…… そんな犯人当てパズル集はたくさんあるが、トリックの水準で本書に及ぶものはちょっとない、と言ってしまおう。この本の中のアイデアのいくつかは、才能ある作家の手にかかれば、それぞれ長編推理小説に仕立てることも可能だ。そして、普通の推理作家にとっては、いわば企業秘密に属するトリックの発想法も克明に公開した。ミステリのトリック作りのノウハウを伝える実用書でもある。世にも珍しい本なので、さあ、どうぞ。

(「著者自身の広告」より引用)

 ミッション系の名門女子校の同級生、今は広告代理店に勤めるマジ=桐原由紀子と、探偵志望でフリーターのカル=篠崎冬実のマジ軽コンビが、14の難事件に挑む。他にも探偵事務所を営む名探偵(名字が名)および助手で
探偵団(名前が団)も時々登場。
 各問題にはそれぞれ「推理指数」があり、難問ほど点数が高い。合計で1000点。各問題にはヒントの章が設けられており、そこを読むと推理指数がやや低くなる仕組みである。

 かなり鼻息の荒い「著者自身の広告」である。確かに今までの推理クイズものは、“既成のトリックからのイタダキ、同じネタの三番煎じ四番煎じ、単に百科事典知識を問うもの”がほとんどであった。が、それらの本が本書のトリックの水準に及ばないものかどうか、は疑問。タイトルは思い出せないけれど、どこかで見たトリックだぞ、というものは結構ある。ただ、筆者なりにアレンジ(というと語弊があるかもしれないが)してあるので、(裏話も含めて)読み応えはある、
 各問題にあとがきがあり、番組の裏話やトリックの発想法が記されている。ここで紹介されたトリックの発想法は、あくまで作者の発想法であるが、これから本格ミステリ作家を目指す人にとっては、参考になるだろう。トリックのタネはどこにでも転がっており、あとは作者がいかに料理するかにかかっているのである。

 イラストは野間美由紀。イラストのおかげで、この本の魅力が数割アップしている気がするのだが……。

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