『絵解き5分間ミステリー』
作者:ローレンス・トリート
(1903年ニューヨーク生まれ。弁護士となるが、パリに移り、執筆活動をはじめる。絵解きパズルも、この頃から手がけた。「警察小説の父」と称され、45年にはアメリカ探偵作家クラブ(MWA)の創設に貢献。17本の長編と300本以上の短編を残したほか、TV脚本の執筆、『ミステリーの書き方』の編集など、多彩な活動を行い、エドガー賞を3度受賞。1998年死去。)
イラスト:キャスリーン・ボロウィック
訳者:矢口誠
扶桑社ミステリー文庫
発売:2005年11月30日初版
定価:552円(初版時 税抜き)
(前略)
問題の解き方にはふたつあります。ひとつは当てずっぽうで答えてみることです。うまく当たれば「わたしは天才だ」と自慢することができます。二番目の方法は、それよりも少し時間はかかりますが、より大きな満足感が得られます。まずは事件の説明をじっくり読み、内容をよく吟味してください。それから、こんどは絵を見ます(これはちょっとした芸術品といっても過言ではありません。読者の皆さんもキャスリーン・ボロウィックの才能に感服することでしょう。キャスリーンは私のアイディアをもとにすばらしいイラストを描いてくれました)。
さて、これからが本格的な謎解きのスタートです。まず最初に、絵のなかに隠された手がかりを探します。足の指からジャケットの襟まで、すべてを細かくチェックしてください。どこかにおかしなところはありませんか? すべては正しい位置に正しい状態でおかれていますか? もしどこかおかしいところがあるとすれば、それはなんでしょう?
つぎはいよいよあなたの推理力を試すときです。あなたは現場の検分を終え、事実をしっかり頭に刻み込みました。では、問題に答えてください。すると――謎が解けるはずです!
(後略)
前作『絵解き5分間ミステリー』に続く第二弾。原題は『Crime and Puzzlement 2』、1982年に出版されている。前作がヒットしたから、続きを書くことができたと、「はじめに」の方で書かれている。
前作と同様、まずは説明文があり、事件のイラストが描かれている。次に「問題」として10問前後の問いが用意されている。この問いは二択or三択となっている。そして「問題」の最後で、犯人の名前ないし事件の真相を推理するという形になっている。それは今までの問いを答えていけば、推理することができるようになっている。設問は全部で24問。ただ今回は、間違い探しが1問、そしてイラストとは全く関係のない暗号問題が1問含まれている。
「まえがき」にもあるとおり、イラストを注意深くみればほとんどの「問題」を解くことができる。現場の状況を見ながらひとつひとつ推理して、事件の真相に迫るという形は実際の捜査に近く、常識的な推理の仕方が少しずつ身に付くようになっている。自信がある人なら、イラストだけからいきなり真相を暴くのも面白いだろう。
解答の最後には、事件の皮肉な結末が書かれており、そのブラックユーモアぶりには笑えてしまうのも前作と一緒。
イラストが見開きで描かれているため、肝心の所で見えない部分があることも前作と一緒。
いくつかの問題では、探偵役に鱗翅類学者のウィルバー・ユニセックスが配されている。
前作と作り、内容が全く変わらないので、前作同様の感想意外、書くことがない。
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