『シャーロックホームズ最強クイズ』
ジョン・ワトスン
訳者:北原尚彦・尾之上浩司
発行:扶桑社ミステリー文庫
発売:2012年5月10日
定価:724円(初版時)
相棒ワトスンとともに、多くの難事件を解決してきた名探偵ホームズ。実は彼はクイズ・マニアでもあったのだ。たびたびワトスンにクイズを出題しては彼を困らせていたホームズ。本書は、そんな名探偵が今まで出題してきたクイズをワトスンがまとめたものである。四段階の難易度で初歩から難問まで、バラエティにとんだクイズに挑戦してほしい。寝室で殺された女主人、その犯人は? 首つり死体で発見された男の殺人方法は? 乗客を撲殺した御者が正当性を主張した理由は? さて、あなたは何問答えることができるか!
【目 次】
第1部 初歩的なことだよ、ワトスン君
第2部 これも基本だ、ワトスン君
第3部 魅力的な謎だぞ、ワトスン君
第4部 難問だぞ、ワトスン君
原著は2011年、英国カールトン社より刊行された。
作者はジョン・ワトソンとあるが、当然ワソトンは架空の存在であり、実際は複数の人間によるプロジェクトとして制作されたもの。原書には、プロジェクト・エディター=
リチャード・ウルフリック・ガーランド、テキスト&クイズ=ティム・ディドプロス、デザイン=ジェイムズ・ポープル、プロダクション=ドーン・キャメロンの名がクレジットされている。ガーランドとディドプロスはRPGファンタジー・ゲーム系の作家である。
数学、語学、物理、とんち、絵解き……初歩から難問まで4段階のミステリー・クイズが143問。原著の問題からいくつかが割愛されている。
ミステリー・クイズとあるが、推理小説のトリックを用いるような推理クイズはほとんどない。数学やイラスト、言葉(英単語)などのクイズが中心である。英国で書かれた作品なので、イラストクイズなどは英国の地理や歴史の知識が必要となるし、数学でも単位にヤードとか出てくるととたんにわからなくなる。単語のアナグラムなどになると、日本語しか話せない当方としては、答えようがないものばかりである。
ホームズの名前を用いるのなら、やっぱり犯人当てや殺人方法などがほしいところだが、それはわずかしかない。登場人物こそワトスンだけでなくハドソン夫人やレストレイド警部、ベイカー・ストリート・イレギュラーズなどの名前が出てくるが、作品とかかわるようなクイズもごくわずかである。
無理をしてホームズを使う必要がなかったと思うが、逆にホームズの名前だからこそ出すことができた本なのかも知れない。こういう本が2011年の英国で出版されたのだから、驚きである。
それにしても、あの「パリ万国博覧会」の問題がここで出てくるとは思わなかった。英国でもそれなりに有名なエピソードなのだろうか。
【その他の推理クイズ本作品リスト】に戻る