『エッケ探偵教室 指名手配書』
作者:ヴォルフガング・エッケ
(ヴォルフガング・エッケ Wolfgang Ecke(1927-1983) は、ドイツの放送作家。1955年よりラジオ放送劇を書き始める。子供たちの圧倒的な人気を得ている作家で、彼の400編を超える少年少女向き探偵ドラマは、ヨーロッパの19の放送局から、8か国語で放送されている。1983年、自動車事故で亡くなる)
編者:各務三郎
表紙イラスト:辰巳四郎
表紙デザイン:桑原伸之
本文イラスト:石井正員
発行:旺文社
発売:1981年11月14日
定価:680円(初版時)
【収録作品】
エッケ探偵教室入学テスト
アリバイ
指名手配書
ただ乗り
盗まれた写真集
にせ札使い
いかさまピンキー
いたずら手紙
グル―バー先生のばか!
やっかいな下宿人
駐車場の自動車どろぼう
どじなやつ
赤毛ゴリラの城
エッケ探偵教室は、各巻ごとに10数編の推理クイズがまとめられた全6巻のシリーズであり、1981年に6冊がまとめて出版された。原題は“CLUB DER DETEKTIVE”で1971、1972、1973、1974、1976、1977年に出版されたとある。各務三郎編とあることから、出版された多くの本の中から、各務が選んで日本向けに6冊にまとめたものと思われる。裏表紙には「10数編の興味深い犯罪ドラマをもとに、名探偵エッケ氏が出題する様々な推理クイズ」とあるが、文中に“エッケ探偵”が出てくるわけではない。ちなみにエッケ探偵教室は、西ドイツ(当時)のミュンヘンにあるそうだ。
内容としては子供向けであり、登場人物の発言や行動と、現場の状況との矛盾点から、犯人や犯人のミスを当てるクイズである。このパターンは、海外の推理クイズで多い。日本の推理クイズでよく見られる、いわゆるトリックが出てくるクイズは無い。
私はオークションで見るまで全然知らなかったが、復刊ドットコムでリクエストがあるなど、出版当時はそれなりに人気があったようだ。クイズ自体も、きちんと文章を読んで考えればわかるものが多く、子供が頭を使うにはもってこいのシリーズだったと思われる。大人が読んでも、息抜きとしては楽しいかもしれない。
最近はこの手の頭を使うような読み物が本当になくなった。できれば復刊してほしいと思う。
Wikipediaのドイツ語版を見ると、作者のことが載っている。そこから見る限りの、このシリーズは以下。
・1971 Club der Detektive 1: Das Schlos der roten Affen (25 Stories) (RAV 208) OA
・1972 Club der Detektive 2: Der Mann in Schwarz (20 Ratekrimis) (RAV 214)OA
・1972 Club der Detektive 3: Das Gesicht an der Scheibe (RAV 221)
・1972 Club der Detektive 4: Solo fur Melodica (RAV 227)
・1973 Club der Detektive 5: Das Geheimnis der alten Dschunke (20 Storys) (RAV 264)
・1974 Club der Detektive 6: Das Haus der 99 Geister (Storys) (RAV 306)
・1974 Club der Detektive (Hrsg.): Erben auf schottisch (40 Ratekrimis) (RAV 315)OA
・1974 Club der Detektive Gold Edition
・1976 Club der Detektive 7: Schach bei Vollmond (Storys) (RAV 365)
・1977 Club der Detektive 8: Der unsichtbare Zeuge (20 Stories) (RAV 403)OA
・1978 Club der Detektive (Otto Maier)
・1981 Club der Detektive 9: Ein Gauner spielt Mundharmonika (Ratekrimis) (RAV 650)OA
・1983 Club der Detektive 10: Keine Spur von Paul Crabbley (10 Stories) (RAV 861)OA
・1986 Club der Detektive 11: Das Geheimnis der 13 Diamanten (Storys). Mit Bildern von Manfred Schluter. (RAV 1539) OA
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