大矢正次『5分間推理・3分間パズル』


大矢正次 『5分間推理・3分間パズル』
(日本文芸社)




『5分間推理・3分間パズル』


 『5分間推理・3分間パズル』
  頭で鉛筆で楽しむ本

 著者:大矢正次


 発行:日本文芸社 TEST SERIES

 発売:1965年

 定価:400円(1973年12月1日 第13版当時)




 体操は肉体を発達させ、推理は頭脳を発達させる、といったところで、オリンピックでやるような体操を一般人がやろうとしたら、肉体が発達するぐらいのところでおさまらない。推理またしかり、頭の痛くなるような推理ばかりやらされたら、頭脳は発達するどころか、こわれてしまうにちがいない。
 わたしは殺人は好まない。だから、この書物の中には、だれにも解けないような天下の難問は載せなかった。
 まず、ちょっとした頭脳のレクリエーションになる程度のものが大部分である。通勤の途中、週刊誌でも読むつもりで、たのしんでいただければ結構である。
 きちんと机の前に座って、などというヤボなことは要求しない。ただ、読んでいるうちに電車で乗りこしをしたところで、わたしのところへ尻をもってこられてもこまる。そこまでは責任はとりきれない。けれども著者としては、そのくらいこの本に夢中になってもらえたら本望だとはいえる。
 書名どおり、本書はわずかの時間でたのしむ推理百科である。「ない項目はない」と、ある百科事典の宣伝文にあったが、これは読みようひとつで、どうともとれる。
 本書についてはわたしは、そんなハッタリはいわない。しかし幸いにもこの本が歓迎されたら、どんどん新しい問題を作って、そのうちには推理百科全集にまで成長させたいものである。
(まえがきより)

【目 次】
§3分間パズル
 1 渡し船パズル
 2 汽車の入れかえ
 3 算数パズル
 4 時計パズル
 5 虫くい算
 6 図形パズル
 7 マッチパズル
 8 幾何のパラドックス
 9 Four Fours
 10 推理クイズ
 11 おとし穴パズル
 12 さまざまなパズル
 13 クロスワード・パズル
 14 暗号のはなし
 15 一筆がき
 16 方陣
 17 トランプ・パズル

§5分間推理(関川周)


 本書は「3分間パズル」と「5分間推理」に別れている。「3分間パズル」は大矢正次からの出題。章題にもあるとおり、様々なパズル問題が用意されている。「5分間推理」は関川周からの出題である。「5分間推理」は全部で30問用意されている。こちらがいわゆる推理クイズに分類される問題である。
 問題そのものは、容疑者などが発言している内容と現場の状況などから犯人を見つけだすというパターンの問題がほとんどだが、その“推理”が極めていい加減。たしかにAの発言からA’という推理が成り立ち犯人を割り出すことはできるかも知れないが、そのAの発言からはBという推理も考えられるケースが多いのである。確かにそういう解釈をすればそういう犯人になるね、という導き方の推理しかできない問題が多い。逆にその解答しか導き出すことができないというクイズは、推理すら必要もない極めて簡単なクイズばかりである。
 「3分間パズル」は様々なクイズのパターンがあり、楽しむことができる。

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