『推理小説のナゾを解く本 世界の名探偵と推理しないか』
素晴らしき探偵たち 25人集
著者:推理小説研究会
(推理小説研究会:詳細は不明。)
発行:青年書館
発売:1980年6月15日
定価:980円(当時)
ミステリー(推理・探偵小説)のファンを自認する人で、いったい何人の探偵(もちろん、刑事や岡っ引きも含めて)をご存知だろうか。たとえば、シャーロック・ホームズ。名探偵の代名詞のごとき彼の名を知らない人はいまい。作品の一つや二つは、どなたもお読みだろう。
しかし、彼はいつの時代に活躍し、どのような性格の持ち主で、推理・探偵の特徴はなんであったか、はたして何人の方がこたえられるであろうか。
もっとも有名なシャーロック・ホームズにしてもである。そこで本書では、世界的に有名な名探偵たちの履歴を紹介することにした。素晴らしき探偵たちの素顔である。とともに、彼らが活躍した事件(作品)をとりあげ、読者のみなさんにも同じ探偵になったつもりで、事件のナゾを解いていただくことにした。それが、「名探偵に挑戦」コーナーである。解答は別ページに用意してあるが、最初から解答を読まずに、じっくり推理していただきたい。
しかし、なかには、一冊の作品で、原稿用紙何百枚にもおよぶものもあり、次々に事件の起こる作品もある。それをそのまま紹介することは、とうてい不可能であり、連続事件ものでは主たる事件を取り上げたのを初め、他もダイジェストにして掲載するほかはなかった。ここにおことわりしておきたい。だが、挑戦コーナーを通して、探偵の魅力を理解していただけるにちがいない。
なお、「ミニ知識」は、ミステリーを読まれるときの参考になるでしょう。
文末になりましたが、多くのミステリー作品、いちいち名は掲げませんが多くの文献を資料に使わせていただきました。ここでお礼を申し上げます。
【収録探偵】
オーギュスト・デュパン、エルキュール・ポワロ、シャーロック・ホームズ、隅の老人、ブラウン神父、思考機械・ヴァン・ドウーゼン博士、明智小五郎、ジョセフ・ルールタヴィユ、A・マリーニ、ソーンダイク博士、ドルリー・レーン、金田一耕助、カート・キャノン、アンクル・アブナー、サム・スペード、マックス・カラドス、ミス・マープル、三河町の半七、チャーリイ・張、マーチン・ヒューイット、レジナルド・フォーチュン、ジュール・メグレ、神津恭介、サイモン・テンプラー、ペリー・メイスン
タイトルは『推理小説のナゾを解く本』とあるのだが、いったいこの本を読んでどんな“推理小説のナゾ”が解けるのだろうか。むしろサブタイトルの『世界の名探偵と推理しないか』の方がしっくりくる本の作りである。
前書きにもあるとおり、名探偵25人の紹介と彼らが出てきた事件(作品)をクイズ仕立てにしたもの。素晴らしき探偵たちと書いてある割には、名探偵の紹介はけっこう辛口なところもあるので、魅力をかえって失わせているのではないだろうか。また紹介しているクイズはダイジェストとしか言いようがなく、かえって作品の魅力を失わせているだけである。また平気で作品タイトルも明かしているので、ネタバレオンパレードといっても過言ではない。どういう狙いを持って作られたのかわからないが、読まないほうが幸せである。
著者の名前は推理小説研究会となっているが、どういう研究会かは不明。辛口な部分が多いところと変にマニア気取りな文章があるところから、大学のミステリ研究会の一部が著者に加わっているのではないかと思われる。
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