『時刻表推理ゲーム〜君の名探偵度をチェック〜』
著者:朝倉秀雄
(新聞、雑誌、広告などで、ギャグ物、ヤング風俗物、クイズなどを執筆)
発行:日本文芸社 新書版
発売:1986.11.30
定価:680円(当時)
鉄道とミステリーはずいぶんと親しい関係がある。作者の言葉だが、それに間違いはない。トラベル・ミステリーというジャンルまであるほどだから。
という訳かどうかは知らないが、この本は全て鉄道にまつわる推理クイズである。登場人物は、警視庁特命課トリオの3人。
七海龍郎警部、45歳。アリバイ崩しの名人としてその名が高いが、それを除けばごく普通の小市民。
古賀雪美刑事、26歳。自称ミス警視庁。美人でグラマーだが、恐ろしいほどの早合点。独身だが、3人目の恋人あり。
新田春人刑事、24歳。いわゆる新人類(もう死語だな)。某二流大学卒業後、全ての会社の受験に失敗し、仕方なく警察官になる。独身。
全部で6章。全て鉄道、時刻表にこだわった推理クイズである。
PART1 駅名ミステリー
PART2 列車ミステリー
PART3 切符ミステリー
PART4 追跡ミステリー
PART5 殺意ミステリー
PART6 特別長編ミステリー
しかし、トラベル・ミステリーみたいな推理クイズを想像したら失望する。全問題、駅名や路線名、特急や急行の名前や特徴、鉄道のルールなど、時刻表を手元に置くか、鉄道マニアでないととてもじゃないが解くことは出来ない。一応、時刻表を元にしたアリバイ崩しもないことではないが、わずか数問である。これでは「推理ゲーム」の名には相応しくない。鉄道知識を競うクイズ集である。例えこの推理ゲームが解けなくても、読者は全く失望する必要がない。この本では「推理」は必要ないのだから。
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