『犯人はダ・レ・ジ・ャ事件簿』
著者:横田順彌
(通称ヨコジュン。1947年佐賀県生まれ。法大法学部卒。ハチャメチャSFの第一人者として活躍。また、日本古典SFの研究家として知られ、『快男児押川春浪』(會津信吾氏と共著)で第9回日本SF大賞を受賞。日本SF作家クラブ会員)
発行:大陸書房 奇想天外ノベルス
発売:1987年8月12日
定価:680円(初版時)
本書は、推理小説にしてSF、かつ本格謎解き小説、すなわちパズラー、には間違いないのだが、数多ある類書とは趣を異にし、絶対に論理的思考では解決は不可能である。
では、いかにして解くか!? それは本書のタイトルに、明快に示されているのジャ!!
知らない人は知らないが、知る人はよく知るあのヨコジュンが著した本格推理SFパズル小説。多分パズル雑誌「クロスワードキング」(大陸書房)や別のパズル雑誌に連載されていたショート・ショートを纏めた一冊である。
収録されているクイズは主に2通りある。
「で、どういう、ご用件でしょうか」
俺は、ソファに腰を下ろすと、ゆっくりとした口調でいった」
「は、はい。ぼくは、松戸○○研究所の……」
「まったく、弱ってしまったよ」
ソファに腰をおろすなり、警部がいった。
「また、難事件ですか?」俺がいった。
「そうなんだよ。とうてい、わしの手に負えん。協力してくれ」
探偵事務所に訪れる客は2通り。松戸○○研究所からやってくる助手と、警部である。いずれも通り一遍では考えられないような不可解な事件を持ち込み、謎を解いてくれといってくる。探偵は、彼らの話を聞いただけで見事謎を解き明かす。
ただ、本のタイトルを見ればわかるとおり、その解決はすべてダジャレ。ことわざや慣用句などのだじゃれが解答になっている。ということで、通常の推理クイズとは趣を異にする。まあ、問題文に含まれている伏線を拾い上げ、謎解きをするというパターンは確かに推理クイズと変わらないのだが。
ということで、まじめに解こうとすると馬鹿を見るかもしれない。しかし、ヨコジュンのユーモアを楽しもうとする人にとっては、面白い一冊になるだろう。問題数は全部で33問。一気に解こうとすると、感覚が破壊されること間違いなし。一問ずつゆっくりと日数をかけて解くことをお薦めする。はっきりいうと、纏めて解いたら本をたたきつけたくなるだろうから(笑)。
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